彼氏は日本人。彼女はフランス人。

日本人とフランス人の国際カップルの記録

M-1グランプリ2018 上沼恵美子が批判された真相

あまりにも真相から外れた話が広がっているように見えてムカつくので、書きました。
各関連ラジオを書き起こしつつ網羅したので全体で2.5万字以上あります。ご注意ください。

目次

1、誤解や脇道
2、好き嫌い
3、人気と実力
4、敗者復活戦
5、決勝本戦と審査コメント
6、批判の真相

1、誤解や脇道

2018年12月02日、M-1グランプリ2018という、毎年行われている漫才の大会がありました。
(以下、名前は全て敬称略で記載します)

その審査員である上沼恵美子に対して、今年の出場者スーパーマラドーナ武智正剛と、前年の優勝者とろサーモン久保田かずのぶが、SNSのインスタライブ上で批判し暴言を吐いたという件が話題となりました。
酒に酩酊しての発言だったということで翌日に二人ともがSNStwitter)上で謝罪をしたものの、上沼恵美子の対応に注目が集まるなど、世間の話題となっていました。

この件について、 「武智と久保田は自分が評価されなくて愚痴を言ってしまったのだろう」 という解釈を見かけることが多々あります。
しかし、これは大幅に間違った解釈だと私は思っています。

審査批判は、自分が評価されなかったことへの「愚痴」ではない

下記が実際の各審査員の評価点数です。

審査員 巨人 礼二 立川 富澤 松本 上沼 合計
見取り図 88 91 85 85 86 83 88 606
スーパーマラドーナ 87 90 89 88 89 85 89 617
かまいたち 89 92 92 88 91 90 94 636
ジャルジャル 93 93 93 99 90 92 88 648
ギャロップ 87 90 89 86 87 86 89 614
ゆにばーす 84 91 82 87 86 80 84 594
ミキ 90 93 90 89 90 88 98 638
トムブラウン 87 90 93 97 89 91 86 633
霜降り明星 93 96 98 93 91 94 97 662

ここから明らかなように、スーパーマラドーナの審査員全体での合計順位は6位なのに対して上沼審査では4位であり、むしろ上沼からは高評価を受けていたからです。つまり、上沼から評価されなかったというわけではないのです。そしてとろサーモンは、評価されなかったどころか前年の優勝コンビであり、審査にケチを付けることに何のメリットもない立場です。

では。
そんな立場の彼らが、一体なぜ上沼を批判したのでしょうか?

お酒やSNSのせいなのか

彼らの批判暴言について、SNSが発達したせいだと言う人もいれば、お酒を飲み過ぎていたせいだと言う人もいます。
もちろん、批判をSNSでするべきではなかったということも事実でしょうし、酔った勢いで暴言を吐いてしまうのは良くなかったということも事実でしょうし、それらを持って、「SNSの使い方には気をつけましょう、お酒の飲み過ぎには注意しましょう、暴言には気をつけましょう」という、誰もが知っている穏当な見解が結論として出回ることも理解はできます。

とはいえ、同大会の審査員をつとめていたダウンタウン松本人志は、大会から一週間後のバラエティニュースショーで、このように言っています。

松本:お酒飲んでSNSすんなってみんな言うんですけど、それはそれで僕は変なかばい方だなって思って。
松本:いくらお酒飲もうがまったく思ってないことは言わないですからね。
松本:そこは僕はごまかしちゃいけないなって思います。
松本:どこかでやっぱり思ってることがあったからなんでしょう。
松本:それはもうしょうがない。
松本:でも、これまた特に僕が怒ってもしょうがない。
松本:だって、そう思ってることを僕が怒ってもしょうがないので。
松本:ただ、スーパーでサーモンは買わないですけどw
(2018年12月09日 「ワイドナショー」)

私も同じことを感じています。SNSやお酒は脇道に過ぎず、元となった批判には彼らなりの「M-1グランプリという大会への思い」があったからこその発言だと思ったからです。けれども現状では、「彼らの心情や意見」を掘り下げる方向の言説があまりにも少ない。その思いの中心を捉えることなく、ただただ彼らの表現の稚拙さを叩く形で話題が消費されているように見えて、彼らが「言いたかったこと」にまで踏み込んだ議論がほとんど見られない。

だからこの記事では、まず彼らの言いたかったことを理解するための文脈を提供しようと思います。
そこから始めないと、彼らが可哀想だからです。それに何より、権力だとか干すだとか許すだとか、つまらない人間関係上の言葉で消費される上沼恵美子が可哀想だからです。必要なのは、両者の大会にかけた思いやそれぞれの正統性をこそ、検証していくことなのに。

そういうわけで、あらためて。
彼らが上沼を批判した背景には、一体どんな思いがあったのでしょうか? 

2、好き嫌い

彼らが上沼を批判したインスタライブ動画の批判部分はこうです。

久保田:自分目線の、自分の感情だけで審査せんとってください。1点で人の一生変わるんで
武智 :嫌いですって言われたら、更年期障害かと思いますよね
(2018年12月02日 武智個人のインスタライブ)

「好き嫌い」で審査することの是非

つまり、上沼が「好き嫌い」で審査したことを批判しているわけです。
これに対して、「好き嫌い」で審査しても良いじゃないか、と言う反論が多数あります。
例えばマツコ・デラックス

マツコ:言い方はともかく、明確な技術点が設定されているわけじゃない。
マツコ:好き嫌いでしか判断しようがないと思う
マツコ:上沼さんの好き嫌いで選ぶのが間違っているかということに関しては、間違ってないと思う。それしか選びようがない。自分が好きなスタイルなのか違うのか。それしか基準がない。
(2018年12月09日「5時に夢中!」)

あるいはハイヒールのリンゴ。

リンゴ:お笑いというのは、最終的には好みやから。その好みにバラつきがないように、審査員が何人もいてはんねん (2018年12月08日「あさパラ!」)

もちろん、それは真実でしょう。
けれどもそれは、いくつかの段階を経た上での「最終的な」真実に過ぎません。最初から「好き嫌い」での審査が推奨されているわけではないからです。

なぜか。

「好き嫌い」に含まれる様々な要素

「笑い」は好きな人に対して起きやすい、という性質があるからです。
すでに知っている人や、異性としての魅力のある人に対しての方が、笑いが起きやすい。
審査員も、自分が知っていて仲良くしている相手の方が、そうでない相手よりも面白く感じてしまうかもしれない。でも、それだと不公平です。だから、そういう 広い意味での「ひいき」をしてしまわないように、個人的な好ましさを差し引いて審査することが「笑い」の審査員には求められています。

M1グランプリで、審査員がよく「個人的によく知っているんですが…/親しくしているんですが…」という枕詞を使ってコメントしているのは、自身の認知度や親和度を除外考慮した上で審査していることのアピールの1つです。

つまり、その意味での「好き嫌い」を除外せずに審査することは、笑いの審査員としては100%失格です。他ならぬ上沼自身が大会の冒頭で発した言葉からも、彼女もこの前提を踏まえて審査に臨んでいることが明らかです。

上沼:今日の舞台の出来ですよ。私はそう思ってるんです。日頃の活躍なんて関係ないと思うんですよ
(2018年12月02日)

「好き嫌い」という言葉には、たくさんの要素が含まれています。そのために、誤解が生じやすくなっている。
だからこそ、久保田や武智が批判的に捉えている「好き嫌い」の意味と、上沼が個別の審査コメントで用いた「好き嫌い」の意味、それらの内容を丁寧に見ておく必要があります。

そこで、ここではまず、久保田と武智が「好き嫌い」以外の何を判断基準にするべきと考えていたかを見ていきます。その中身が分からないことには、上沼批判の真相も、そこから得られるハズの学びも立ち上がって来ないと思うからです。

「好き嫌い」には容姿への評価が含まれる

まず、M-1グランプリ2018の番組放送前に投稿された、とろサーモン久保田による次の発言が鍵になります。

お願い🤲
M1敗者復活戦があります視聴者投票みたいですね。お願いだから偏ったカッコいいとか可愛いの一票で入れないであげてください。それで勝ち上がる者が決勝でどれだけ酷い惨殺にあうかプロは知ってる。投票は簡単あきらかに受けてたとそれよりは受けてないこれが基準ですアイドルやないねんから
(2018年12月02日 https://twitter.com/kubotakazunobu/status/1069067342800277504 )

カッコいいから好き、可愛いから好き。そういう 「容姿への好き嫌い」で判断しないで欲しい、という意見です。
なぜこのような投稿がされたのか。
その背景には、「人気と実力」という対立があります。

3、人気と実力

容姿が良い者は人気を獲得しやすく、テレビなどの露出も増えやすく仕事ももらいやすい。一方、容姿に恵まれない者は舞台で観客を楽しませる実力があっても世間的な評価が追いついていないことが多い。
M-1グランプリは、それまで「人気」だったかどうかには関係なく、あくまで当日に披露された漫才の「実力」を評価することを前面に打ち出して2001年に開始されています。
大会発起人である島田紳助が、自分が世間の人気を獲得するきっかけとなった漫才に恩返しがしたいという思いから、漫才の実力がある者を発掘評価する場を設けたのがM-1グランプリだからです。
実際に、容姿にポップさの欠片もない「ブラックマヨネーズ」や「笑い飯」や「サンドウィッチマン」をチャンピオンとして輩出しています。

M-1グランプリ爆笑オンエアバトル

M-1グランプリが始まる少し前の1999年から2010年まで放送されていた番組、NHK爆笑オンエアバトル」との比較が分かりやすいので、比べて説明します。

出場名 オンエア率 出場回ごとの得点
ブラックマヨネーズ 2回 / 8回 193,197,477,249,425,237,413,265
笑い飯 1回 / 4回 293,289,193,425
サンドウィッチマン 0回 / 0回 出場なし

100人の会場客が審査して545が満点。10組出場する中から上位5組がTVオンエアされるという形式の番組です。M-1グランプリでは数千組の出場者の中で1位と評価された上記の人たちが、NHKが若手全体から「任意に選んだたった10組」の中で上位半分にも入れずオンエアされないことが多かった、という圧倒的事実。
もちろん、ネタが違う・会場が違う・時期が違うなど様々な別要因もありますが、 爆笑オンエアバトルでは番組観覧の一般客が審査するスタイル を取っているため、「容姿が受け入れやすい人であること」「知っている人であること」「分かりやすい笑いの種類であること」などが重視されやすい傾向にあったことは確かだと思います。
ことサンドウィッチマンに至っては、容姿のせいで出場すらさせてもらえなかったと話しているくらいです。

富澤:NHKとか昔はダメでした。ガラ悪くて
伊達:僕ら出禁でしたw 見た目で
〜中略〜
富澤:(爆笑オンエアバトルにも)出してもらえなかった
伊達:1回もですよ!
(2018年07月10日 「踊る踊る踊る!さんま御殿!!」)

もちろん番組を盛り上げるジョークとして自虐して言っている面もあるのだろうとは思いますが、それがジョークとしても成立してしまうくらい「容姿への好き嫌いが面白さの評価に混入する」というのは、よく知られた事実です。

M-1が掲げる実力主義

再び、審査員をつとめていたダウンタウン松本人志の説明に戻ります。

松本:だから、審査員を一般の人にしたらいいんじゃないかってずっと言われてることですがね。それを僕はなぜ違うかなと思うのは、どうしてもプロが見てるという緊張感の中でエンターテインメントってすごく向上していくので。一般の人に向けての笑いばかりやっていると絶対クオリティー下がっていくと思うんですよね。
(2018年12月09日 「ワイドナショー」)

アカデミックの世界では、専門家の評価は専門家がするのは当然で、それと同型の構造がエンターテイメントの世界にもある、という話です。一般観客の審査では、どうしても容姿など「実力以外の要素」まで評価に混入されてしまい、そこには文化的発展性がない。だからこそ誤魔化しの効かない「実力」をプロが見て審査して、文化として成長させて行く、と。

素人審査では容姿などを含む「人気」投票に陥りやすいから、プロによる「実力」の審査をする。
M-1グランプリが当初から掲げている看板です。先の久保田のツイートは、それに沿ったものです。
では、実力とは何か。
ここで、「芸人らが絶賛するもっと売れるべき芸人」とタイトル付けられた動画を見てみます。

芸人らが絶賛するもっと売れるべき芸人

2006M-1決勝進出のライセンスと、2008M-1チャンピオンのノンスタイル

石田:プラスマイナスは評価されてほしいなー
井本:俺も評価されてほしいねんな
石田:ええ漫才師ですわ
井本:ええ漫才師、ほんまにあれは。あれはホンマにええ漫才師やな。。ネタ終わってさ、袖バーって下りてきてさ、すぐ二人でなんか喋ってるやん、で次のネタ見るやんか…何にも変わってへんねんw 一体あの時間なんやねやろって思うねん。笑
石田:笑 …でもあれ、岩橋の中で、めちゃくちゃ変わってるらしいですよ
井本:うそ!?
石田:もう僕も何回かこう、うっすらと聞いたことあるんですけど、ほんまにもう、コンマ単位のタイミングとか、声量とか、この言葉をもっと大事にしろとか、そういうことをお互い言い合ってるんですよ
井本:確かにお互いに言い合うもんな
石田:そうなんですよ、だからよく聞くと、変わってるんですよ。でも、あんだけ打ち合わせしてるからまあ僕たちも結構ざっくり変えたんかなって思うんですけど、めちゃくちゃ細かいところが。
〜中略〜
井本:すごいよな、あいつら。ほんと賞とかさ、取っていいと思うねんな
石田:ですね
井本:ちゅうか年間通してさ。なんかその大声コンテストとかあるやんホーンとかいうの?ホーンとかデシベルとかいうの、あれで1年間のやつ測ったら多分1位やでアイツら
石田:1位ですね、笑い声だけ。お客さんの笑い声しかり
井本:だから、あれを評価されんと嫌じゃない?俺らも
石田:そうなんです
(2017年09月25日 よしログ https://www.youtube.com/watch?v=DW8rMzU_AiI )

よしもと男前ランキング上位のコンビ、ライセンス。長らく女子中高生人気No.1だったノンスタイル。「実力派漫才師」であるより前に「人気漫才師」という冠を付けられがちな彼らが話している事実を思えばこそ、ノンスタイルと同期であるとろサーモン久保田やスーパーマラドーナ武智がどんな考えを持っているのか想像するのは難しくないはずです。

4、敗者復活戦

ここで、久保田がツイートした数時間後、敗者復活への投票も終わり、結果発表を待つ頃まで時計の針を進めてみます。
TVの本放送ではM-1グランプリの大会ルール説明などが放送される中、ABCラジオでは2001M-1準優勝のユウキロックが敗者復活戦の様子を説明します。1組ずつ敗者復活戦出場者のネタの出来を説明する中、プラスマイナスについて準決勝敗退時を振り返りながら話しています。

敗者復活への視線、先輩芸人

相原:(準決勝について)もう爆笑に次ぐ。普通の(劇場)本公演でも物凄いからね、ウケ方は。無冠の帝王ですもんね
ユウキ:僕も(決勝に)行ったと思ったんです、でも行けなくて。で、今回(敗者復活)は準決勝と同じネタでも良かったと思うんです、でも変えてきて。それも、もう(芸人の)皆さん知ってるような、モノマネも多数したネタをやったんですよね、本当にラストイヤーで全てを出すためにこのネタやったんじゃないかって、ぼく思って。で、最後は爆笑きちっと取って終わったんで
相原:プラスマイナス全集みたいな
ユウキ:全集を出したんですよ。だから僕は(敗者復活から決勝に)出してあげたいな、と
相原:個人的には僕プラスマイナスには行ってほしいな、ラストイヤーやし、個人的に仲も良いし。でも足らないものが一つだけあるんです、、人気です。w
ユウキ:人気かー
喜多:くわー、大事
相原:冷静に考えてw 太った小太りのおっさんが、ね、顎をカッカ、カッカ、拳でカッカカッカやる、笑てるのおっさんだけですよw そら女の子悲鳴あげますからね、なにこのひとーてw
ユウキ:パラさんの言う通りでね、僕この仕事やってるから投票だけはせんとこうと思ったんですけど、今回だけは、(プラスマイナスに)投票しようかなと思ったくらい、後押しせんとあかんかなと思うくらい
相原:そうなんです、でも面白さは圧倒的やからね
久馬:でも人気ない枠はギャロップおるからね、もうw 同じようなね
相原:ちょっとね毛並みが違うのよ、ギャロップだけにw
(2018年12月02日 「ラジオでウラ実況!?Mー1グランプリ2018」)
(出演:メッセンジャー相原、ユウキロックザ・プラン9お〜い!久馬シャンプーハットこいで、喜多ゆかり)

ラストイヤーと呼ばれる人たち

M-1グランプリでは、大会出場の条件として「コンビ結成15年以内」を掲げています。
そのため、結成15年、大会に出場できる最後の年を迎えたコンビを「ラストイヤー」と呼んでいます。
大会創始者である島田紳助がコンビ歴の条件を定めたのには、ある目的がありました。曰く、才能がなくてだらだらと芸人を続けているせいで人生が上手くいってない人たちもいる、他の業界に行けば活かせる才能があって別の人生があるかもしれないのに可哀想だ、だからある程度やっても結果がでない場合にはすっぱり芸人を辞めるきっかけを作ってあげないかん、そのためにもそういう奴らを憧れさせて芸人の世界に引き込んだきっかけになった松本が審査員をせなあかん、と。それがコンビ歴の条件が設定されたきっかけでした。(たしか「松本紳助」という番組でこれらを語っていたハズですが、手元に資料がないので記憶頼りに書いています、誰か正確な書き起こしあればください)

今では大会を盛り上げるドラマの要素として番組側も「ラストイヤー」の言葉を多用していますが、やはり「テレビで活躍したい・売れたい」と思う漫才師にとっては、M-1グランプリ以上のチャンスが存在しないのも現実です。 そして、先のラジオ番組で解説をつとめるユウキロックこそが、2001M-1準優勝後にもM-1(またはTHE MANZAI)に挑み続けるも結果を残せず、コンビ解散を決めた一人です。
その2001M-1で優勝した中川家は、当時のラストイヤー。
優勝できなければ引退も考えていたという中川家の礼二はテレビの審査員席に、そして準優勝のユウキロックは芸人を引退してラジオの解説者席にいるのでした。

今回のラストイヤー

今年のM-1グランプリ2018では、ラストイヤーと呼ばれる決勝進出コンビが多数いました。
それがジャルジャルスーパーマラドーナギャロップです。

つまり今回、上沼批判をして炎上した武智のコンビ、スーパーマラドーナはラストイヤーでした。
そして同じく炎上した久保田のコンビ、とろサーモンも、ラストイヤーだった前年にして優勝を果たしたのでした。
彼らは、同じ吉本NSCの22期生です。
そして実は、問題となった動画にはもう一人の22期生がほんのり映っています。それがギャロップの林です。
ギャロップもまた、今年がラストイヤーでした。

後述するように、上沼批判の背景には実は「ラストイヤー」が大きな因子として横たわっています。

どのコンビも漫才の実力があり、面白いという芸人からの評価はあるものの、テレビで大きく活躍するきっかけをなかなかつかめずにいました。だからこそM-1グランプリという大会に、大きく売れるためのきっかけを求めているのでした。

ちなみに、同期なのにとろサーモンは前年、スーパーマラドーナギャロップは今年がラストイヤーとなっているのはなぜなのか。
それは、M-1グランプリがコンビ歴を条件としていて、コンビ活動休止やコンビ変更などによってコンビ歴が芸歴より浅くなっている人たちのラストイヤーは遅くなるためです。
学校で例えれば、留年して卒業が遅くなっているのがスーパーマラドーナギャロップです。その留年していた時間は、そのまま「全く売れずに苦労していた時間」を表します。
そのたとえで言えば、とろサーモンは2年間の留年、そしてスーパーマラドーナギャロップは3年間の留年です。

大阪NSCの年表でM-1決勝関連をWikipediaから転載します。

22 1999 ダイアン、キングコング山里亮太南海キャンディーズ)、村本大輔ウーマンラッシュアワー)、なかやまきんに君ネゴシックス久保田かずのぶとろサーモン中山功太林健ギャロップミサイルマンスーパーマラドーナグッピーこずえ、七世一樹、ひのひかり智丸尾ユウキャン梶剛(元・アイスクリーム)
25 2002 秋山賢太(アキナ)、ジャルジャルプラス・マイナス銀シャリクロスバー直撃、ヒューマン中村、グイグイ大脇、森田展義、新名徹郎、ハロー植田、カズマ・スパーキン、ナゲット村井、信濃岳夫安井まさじ、西山裕大、もりやすバン

(なお、吉本NSC経由ではないため記載されていませんが、ノンスタイルも22期と同期扱いとなります。)

そのため今年のM-1グランプリ、同じラストイヤー組であっても、芸歴とコンビ歴が一致するジャルジャルやプラスマイナスは3期下の学年となっています。

波紋の始まり

ここまでを踏まえ、M-1グランプリ2018の本放送を見てみます。
この日、準決勝で敗退した者たちによる敗者復活戦が直前まで行われており、視聴者投票によって決勝進出を決めることになっていました。本放送では、それぞれの審査員紹介をした直後、敗者復活の投票結果発表を前にして、司会の今田が上沼に水を向けます。

今田:あの上沼さん、敗者復活の方にはマジカルラブリーも来てるんですけどもw 去年の、覚えてますでしょうか?
会場:(笑)
上沼:あ〜、そうですね

前年大会で上沼がマジカルラブリーを酷評して叱りつけたことから「上沼怒られ枠」という言葉が生まれ、大会前から「上沼の辛口審査が誰に向かうのか」が取り沙汰されていたことを受けてのものです。

今田:もしかしたら、決勝に戻ってくるかもわかりません!
上沼:うわ〜。…ミキが来て欲しい♪
会場:(爆笑)
今田:やめてください、マジカルラブリー見てますよw
(2018年12月02日 Mー1グランプリ2018)

このやり取りのあと、番組では敗者復活の投票結果発表へと進行していきます。
ここで、上沼が咄嗟に挙げたミキとはどういうコンビなのか確認しておきましょう。

ミキとは何者か

前年の2017M-1で3位となったミキ。それまで関西圏でも人気を集めていましたが、前年大会をきっかけに知名度と人気が全国区へと広がった、いま最も勢いがある若手の兄弟漫才師です。特に、弟の容姿が可愛いということで女子人気が高いという特徴があります。 2004M-1準優勝の南海キャンディーズ山里が、自身のライブ「140」がミキのライブと同じ福岡の劇場で行われた際に、ミキについて語っています。

山里:ピックリした、客層の違いに。
山里:うちの140見に来るお客さんは、もうリスナーもたくさん来てくれたし。
山里:で、結構、世代的には僕に近かったりとかするんだけど。
山里:ミキの方は、やっぱ若い女子中高生とかが多くて。
山里:で、凄いらしいよ、その人気が。
山里:まぁ漫才はもちろん面白いじゃない。 実力的に面白いんだけど、どうやら弟がとてつもない人気らしくて。
山里:聞いたらよ、 ルミネとかの単独で、チケットはもう即完で取れないって中で、グッズだけでもっていうので、ルミネの7階から1階まで、列がズーッて並んでんだって。何千人って並ぶらしいよ。
山里:凄い人気なの。まぁ、全部弟だと思うけど。まぁ、凄いみたい。
(2018年03月14日 TBSラジオ山里亮太の不毛な議論』)

そんなミキの伯父は、上岡龍太郎。後に大阪府知事となる横山ノックらと『漫画トリオ』として人気を博した漫才師で、関西圏では知らぬ人がいないほどTVで活躍した芸人です。
けれども、そのことはあまり知られていませんでした。
ミキの2人が、伯父が上岡龍太郎のコンビとして注目されたくないという理由で、ミキ自身の実力で売れ始めた2017年まで公表していなかったからです。
つまりミキも、「実力」を評価されたいと強く願い、M-1グランプリという大会に臨んでいる人たちなのです。

敗者復活、結果発表

けれど、多くの芸人の証言を辿れば、この日の敗者復活戦会場で1番ウケていたのはプラスマイナスでした。
本人たちも冗談を交えながら「8割方、自分たちが決勝に行くと思っていた」のだと述懐しています。

そんな中、TV本放送では、敗者復活戦への投票結果が下位から順に発表されていき、残るはプラスマイナスとミキの2組となります。
先ほど紹介したラジオ番組では、2001年大会以降のM-1で芳しい成績を残せなかったことでコンビ解散に至ったユウキロックがこう叫んでいます。

ユウキ:うわあ、プラスマイナスとミキや、頼む、プラスマイナス来てくれ、ミキはまだチャンスあるやんけ
(2018年12月02日 「ラジオでウラ実況!?Mー1グランプリ2018」)

本放送で映し出される屋外会場。敗者復活戦を司会する陣内が、残った2組を紹介します。

陣内:さあそして、残った二組です。ミキ、そしてプラスマイナスです!さあミキ残ったよここまで、去年はファイナリストでした
昴生:もう絶対に行きたいです、絶対行く!
陣内:亜生は?
亜生:いや、一回ここで2位で惜しくも敗れてるので、今回は1位でなんとか行かしてもらいたいなと思います
陣内:ねえ、前回のあの舞台立ちたいですね。
亜生:そうですね
陣内:さあそしてラストイヤーのプラスマイナスです!さあ岩橋残ったよ
岩橋:いやもうずっとね、テレビで見てて悔しい思いしてたんでね。あの同期のジャルジャルとかね、マラドーナさんと、、、一緒に戦うぞ!
陣内:さあ兼光は?
兼光:俺らの方が絶対行く!
陣内:巨人師匠居てるよ、巨人師匠は?
兼光:巨人師匠、絶対行くよ!
陣内:モノマネせえや、モノマネw
(2018年12月02日 Mー1グランプリ2018)

そして決勝スタジオ。司会の今田が決勝進出者を読み上げ始めます。

今田:敗者復活戦を制し、Mー1グランプリ2018決勝戦に進出できるラストの枠を勝ち残ったのは、、
今田:エントリーNo.2071番、ミキー!
(2018年12月02日 Mー1グランプリ2018)

ABCラジオでは、流していたTV放送の音声が止まり、ラジオブースへと音声が切り替わります。

ユウキ:いや〜もう泣けてくるわ俺
相原:(プラスマイナスは)ラストイヤーやで〜、、ドラマやな〜
ユウキ:いやそうかー、マジかー、、現実見たなやっぱり。いやもうでけへんわ俺もう。いやショックや
(2018年12月02日 「ラジオでウラ実況!?Mー1グランプリ2018」)

もう1組のラストイヤー、プラスマイナスの心境

この日すべての本放送を終えたあと。3度のM-1グランプリ決勝を経験したキングコング梶原のyoutubeライブで、プラスマイナスは数時間前の自分たちの心境を語っています。

カメラマン:手応え的にはどうやったんですか?
岩橋:直前に兼光に、発表される前に「何割くらい行けたと思う?」て聞いたら「8割」て言うてたから
梶原:8割はなかなかやで
岩橋:終わった瞬間、みんなにね、「行った」「行った」言われたんですよ。
~中略~
梶原:岩橋的にはどうやったん?
岩橋:僕的にも行った思って、ずっと決勝のネタ合わせしてましたから
梶原:(うなだれながら)そうか〜
岩橋:まあでもネックやったんが僕らの人気(がない)っていう部分と、あとミキの人気(がある)っていうのもあるじゃないですか。ほんで、ミキが凄いのは、人気だけじゃないんですよ。みてくれ(外見)だけじゃなくて、ほんまに面白い!
兼光:面白い!
~中略~
岩橋:まあでも長年培ってきた人気の差っていうのも出たんかなっていうのも、2万票の差(過去最少の僅差)やったら思いましたし。でも本戦でミキめっちゃ頑張ってて面白かったんで、僕はもう敗者復活戦代表としてようやってくれたなって思いましたけどね
(2018年12月02日 カジサックの部屋 https://www.youtube.com/watch?v=ff7oBoHws0E )

敗者復活への視線、同期ジャルジャル

プラスマイナスと同期で、ラストイヤーのジャルジャル
大会の翌日収録となるラジオで、その時のことを話しています。1年前の大会では珍しく泣いていた福徳に対して、今年の大会でも泣いていたのでは?と言う話の流れから。

福徳:泣きそうもなかったし
後藤:このMー1全体を通して泣きそうもなかった?
福徳:いや、あった! …プラマイがあかんかったとき。
後藤:あれは、ちょっとやっぱ、泣きそうと言うより、、、うわーって言う。
福徳:そう。ただ俺あんとき、気合い入ったわ
後藤:入った入った
福徳:もうやったるわ思って
後藤:ほんまにちょっと心のどっかで、プラマイやろなって思っててん。でプラマイが(決勝に)来たらプラマイが(決勝の空気を)持ってく大会になるんちゃうかなって思ってた反面、まあ気合いは入ってたから、気合いは入ってるけど入ってないみたいな。プラマイの大会になるやろなって思っててん。で、プラマイがあかんってなってから逆に気合い入ったもん
福徳:うん、気合い入ったな
(2018年12月08日 ジャルジャル『しゃべってんじゃねぇよ!』)

ラストイヤー組として、プラスマイナス岩橋から名指しを受けたジャルジャルの心境はこうだったのだとして。
同じく名指しを受けたラストイヤー、スーパーマラドーナ武智の心境はどんなものだったでしょうか?
それまで敗者復活戦で1、2位を争うウケながらも長らく決勝進出は果たせず、ラストイヤーにしてようやく決勝進出が叶い優勝を果たしたとろサーモン久保田は、どんな思いで大会を見ていたのでしょうか?

このとき、たいして思い入れがあるわけでもない私の脳内でも、プラスマイナス岩橋の叫びがリフレインしていました。

岩橋:いやもうずっとね、テレビで見てて悔しい思いしてたんでね。あの同期のジャルジャルとかね、マラドーナさんと、、、一緒に戦うぞ!

敗者復活への視線、審査員席の上沼

そんな状況の中、敗者復活が決まったことを受けて、本放送では決勝スタジオに画面が戻ります。

今田:さあこの結果になりました上沼さん!
上沼:嬉しい!
会場:(笑)
上沼:いや、でもちゃんと審査させていただきますよ
今田:もちろん審査はね
上沼:今日の舞台の出来ですよ。私はそう思ってるんです。日頃の活躍なんて関係ないと思うんですよ
今田:そうですね
上沼:今日こんな緊張された(会場の)皆さんも緊張されてる、そしてすごい方が全国でご覧になっている。その中でどれだけの日頃の力が発揮できるかですから、ミキを特別扱いするかなんて、全くしません!
今田:はいw 散々さっきまでやってましたけどもねw
上沼:(頭を抱えるリアクション)
会場:(笑)

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さっきまで散々ミキを特別扱いやってましたけどねw

今田:ここからはもう本戦ですから
上沼:はい、そうです
(2018年12月02日 Mー1グランプリ2018)

図らずもこの敗者復活を境に、ミキを因果の特異点としてラストイヤー組の運命が束ねられ始めていきます。そしてなぜか、その因果を束ねているのが上沼恵美子に見えてしまう、という現象が起きてしまうのです。上沼恵美子インキュベーターかよ。

それこそが、とろサーモン久保田とスーパーマラドーナ武智の批判暴言に繋がった真相だと思うので、、順に見ていきます。

5、決勝本戦と審査コメント

会場の雰囲気について、「今年は重くウケづらい雰囲気だった」と多くの人が証言しています。
審査員の松本は、番組終了間際に優勝トロフィーを渡しながらこう話していました。

松本:なんかねぇ、前半は全体的に重かったやないですか。でも後半みんながチームプレーみたいな感じで漫才を盛り上げてくれてるのが…もうちょっと俺、おっさんやから泣きそうになってるわ。ごめんなさいね
(2018年12月05日)

決勝の雰囲気について

この雰囲気について、準優勝となった和牛が振り返りながら、鋭い分析をしています。

川西:まあでも、なんか今年は、僕ら復活したM1からずっと出さしていただいてて、2015年ですか。15、16、17、18、今年で4年目。ぜんぶ出さしてもらえたやん、ありがたいことにな。
水田:そうやな
川西:ちょっとやっぱり、なんかちょっと、毛色ちゃうかったなあ、空気感。
水田:そうやなあ。なんやろう、点数もちょっと昔のM1みたいな点数みたいやったよなあ。最初、けっこう。
川西:いや、えっとね、そこもちょっと思うことあんねん。昔のM1は点数ももっと低いねん。
水田:もっと低いんや?
川西:もうちょっと低いねん。
水田:ああそうか
川西:で、重い。なんて言うかな、空気が流れてる。でもね、点数はまあ、フワッと割とこう、ついてたなあとは思うねん、冷静に見たときに。600点台とかから始まってるからな。
水田:うん
川西:でも、なんやろう
水田:でも辛口コメントがさ、ブームになってたやんw
川西:そうそうそう、そうやねんなあ
水田:審査員の人らも、「そっちがそこまで言うなら、こっちもこれぐらい言っとこう」みたいな。全員でブーストかかってるみたいになっとったやんw
川西:ジリジリ、ちょっとシビア路線になっちゃって。なんやろなあ、例えばトップバッターの見取り図とかも、なあ。今までにないことで、全員にコメントを振ると。
水田:たしかに多かったね、コメント
川西:やっぱりあれはM1が30分放送時間が長なってる、っていう
水田:あ、そうか!
川西:そう、そこ。まずそこがね、1点違うし。
水田:だからか!
川西:うん。なんかね、細かい要因が重なって重なって、ガラッと変わったんやろな。
水田:うーん
川西:だから、なんやろ。打ち上げの場で、なんか落ち込んでる人多かったもんな(笑)
水田:せやなw
川西:全然そんなことないよ、って。その自分らがまあ、そういうラインにこう、かすらなかったから言う訳でもなく。全然そんなことなかったやん。堂々と胸張っていい漫才やってたやん、普段通りみんなさあ、落ち着いて。
水田:うん、やってたやってた
川西:でもなんか、例年に比べて落ち込んでるやつ多かったなw
水田:たしかにw 落ち込んでる人おったな
川西:あれはなんかやっぱりなんやろ、今年のM1の、ちょっとちゃうかったあれが引き起こした現象やね
水田:まあなんか、いろんなM1を体験できてるよね
川西:まあまあ、そうやわ。けっこう酸いも甘いもんもな
水田:みんなバンバンウケるようなM1も経験したし
川西:経験した、経験した
水田:昨日みたいな、「おおちょっとなんか、なかなか難しそうやな」みたいなんも経験したし
川西:なんかだから、なんか団結感がすごかったわな、芸人のな。「このスタジオの感じvs芸人」みたいな、「M1vs芸人」みたい構図にちょっとなってたよな
水田:なんか、誰かがえみくじ引かれて行くたんびに、「行ってこい!」みたいな感じに
川西:「おーし行ってこい!」って。カメラでそこのシーンて抜かれてるからみなさん見てはると思うけど、なんやろ演出的なこととかそういうのこと抜きの、本当に。「うおおっ!」ていうその一喜一憂が引かれた瞬間はあるけど、そのあとはみんな「しっかりな!」っていう
水田:そうやな
川西:「いつも通りやり切っておいでや、出し切っておいでや」っていうな。
水田:あったあった
川西:まああと、これは自分らが芸歴を重ねてきたっていう証拠でもあるよな
水田:あと、1組ずつ終わってからの「お疲れさま!」ていう感じが今までよりあったよな。
川西:いちばんあった!
水田:やっぱその、「ちょっと苦労してるな」っていう感じが分かるやん、こっち芸人は。
川西:だから、M1、あのスタジオ丸ごと空気vs芸人、「これどう打破すんねん?」てなったっていうことやわな。
水田:そう。立ち向かった戦士たちに向かっての
川西:うっすら趣旨変わってたもんなw
水田:でもえらいもんで、皆んなの力で段々、あったかなってきて
川西:すごいよ、みんなかっこいいなぁて思ったしな
(2018年12月05日「和牛のモーモーラジオ」)

全く同じことを、キングコング梶原も語っています。
昨年までと比べてM-1グランプリ2018という番組の放送時間が30分以上も長くなっていたため、最初のコンビがネタを開始するまでの待ち時間が長くなり、前説で温めたハズの会場が緊張して冷たくなっていたのではないか。また、長くなった放送時間を審査員コメントにも割り振っているため、例年では2人くらいに聞いて終わりだった審査員コメントが、今年はほぼ全員に聞く進行となり、それが辛口コメントを増幅させて会場の緊張を増したのではないか。

(2018年12月02日 カジサックの部屋 https://www.youtube.com/watch?v=ff7oBoHws0E )

実際にどんな審査コメントだったのか、トップバッターの見取り図へのコメントから見てみます。

見取り図への審査コメント

ネタ後、いくつか見取り図との感想のやりとりがあったあと。

今田:ただ気持ち良い感じで、後半につけてドンドン、ドンドン、ウケてったんじゃないですか?計算通り。
盛山:そうですね。お客様も優しくて
今田:いやー、点数の方が楽しみです。
上戸:さあ、審査員のみなさん、点数お願いします。
今田:いやー、トップバッターですけども、これは面白ければもう、高得点いってもいいんじゃないでしょうか?
今田:さあ。トップバッターで優勝したっていうのは中川家だけなんですよね、このM-1の歴史で。
今田:さあ、運命の点数です!

その前振りから、点数発表。昨年よりは低いものの、全体としては悪くない600点台の点数となります。

今田:600点超えました!トップバッターで!
今田:さあ、ちょっと審査員のみなさんにも訊いてみたいと思います。上沼さん、いかがでしたでしょう。
上沼:前半が、古いです。笑いが。私たちがやってた頃のなんか
今田:懐かしい?
上沼:うん、懐かしい。ところが後半でガッといきましたから。後半からのあの調子でいってほしかったな、と思うの。もう時間が足りなかったな。うん、惜しい。88は私、ほんとは86と思ってたんだけど、トップバッターだからちょっと、色を付けさせていただきました。
盛山:2点もつけていただいてありがとうございます。プラスしていただいてありがとうございます。
上沼:でもほんとに、アガらないって凄い。
今田:どうでした、緊張は?
盛山:めちゃめちゃ緊張してました、僕。
上沼:してなかった。
会場:(爆笑)
盛山:いえいえ、してたんですw
リリー:してました、してました。
会場:(笑)
今田:上沼先生が言うてはんのや! 君らウソつくんやない!w
盛山:してましたもんw
今田:してませんでしたよね、これっぽっちも。
上沼:(うなずく)
会場:(笑)
上沼:…見事でしたよ。
盛山:そう思っていただけてありがたいです。
今田:ほんとにね。さあ松本さん、いかがでしたかトップバッター
松本:そうですねw
今田:ねえ難しかったと思いますが
松本:えー、うん、、そこまで、ウケてなかったかな。
今田:なるほど、やはり前半とか?
松本:うん、、もうちょっと笑い欲しかったかな
今田:なるほど、やっぱこの4分の間に、たくさん笑いがと言うのはね。
今田:さあ富澤くん、いかがでしたでしょうか
富澤:勾玉とか非常に面白いワードがいっぱいあったんですけど、後半もうちょっと欲しかったかなというのはありましたね。
今田:もっと欲しかったと、はい。さあ志らくさん、いかがでした
志らく最初聞いているうちはなんか新しさがないから、あ、これはほんとに50点くらいつけようと思ったんですけど、だけど、あの、マルコ牧師で70点くらいまで跳ね上がって、須田えり子で85点まで。

大会の空気を規定する審査員

どの芸人もやんわりと指摘するだけで明言こそしていませんが、審査員の上沼恵美子立川志らくがトップバッターの見取り図に対して「古い」と厳しく評価したことが、この日の会場を重くした大きな要因だろうと私は想像します。
たしかに松本の言う通り、ゆにばーすがトップバッターとしてネタを披露した前年に比べるとウケは小さかったかもしれませんが、見取り図の本人たちは点数発表前に盛山が「(会場)お客様もやさしくて」と言う通り、テレビ画面越しに聞こえる笑い声はそこそこあり、決して酷いわけではありませんでした。
実際、2日後のラジオで見取り図の2人はこのように語っています。

盛山:僕ら結構ええ感じやったし、どんなん言っていただけるんかな思ったら、なかなか、ね
リリー:せやな
盛山:僕ね、途中から審査員さん全員、セルジオ越後に見えてきて
リリー:辛口のね
〜中略〜
盛山:今回ちょっと僕ら、ネタが審査員のみなさんに刺さらなくて
リリー:そうそう
盛山:上沼恵美子さんから「ネタが古い」て言われましたw
リリー:言われたことない「古い」って
盛山:まあでもこれを真摯に受け止めて。「私らがやってた時代の漫才」って
リリー:そんなわけないw
盛山:スポブラとかも当時あったかもしれん、俺らが知らんだけでw
盛山:それか物自体が古いんかもしらん、勾玉とかw
(2018年12月03日 よしもとラジオ高校らじこー見取り図)

審査された本人たちが「何が古かったかわからない」とラジオで語るほどですから、観客はどう思ったことでしょう。
なにしろ、審査員の上沼と志らくは「前半が古い」と評価した一方で、審査員の富澤はその前半にある「勾玉」などのワードを評価しながら「後半もうちょっと欲しかった」と語っているくらいなのです。審査員の中でも評価が分かれているように見えるのだから、観客であればなおさらでしょう。
もちろん、前半で笑えなくて、「古い」という指摘に納得した人もいたかもしれません。けれども逆に、前半で笑った観客の中には、審査員が「古い」と評価したことで、「あれ?わたし、あそこで笑って良かったのかな、古かったのかな?」という思いがよぎった人もいただろうと思います。その観客は、後に出てくるコンビのネタに対して、「これで笑っていいのかな?」と感じて笑いづらくなったことでしょう。
このトップバッターに対する上沼と志らくの審査コメントの流れが、今年のM-1グランプリは新しいものじゃないと笑ってはいけないのかな?と言う空気を規定したと私は思います。おそらくこの流れによって得をしたのが、ジャルジャル・トムブラウン・霜降り明星でしょう。
つまり、最年少で新しいタイプの漫才を披露した霜降り明星が優勝した大きな布石として、トップバッターの見取り図への審査コメントがあったと私は感じています。
もちろん、これこそが松本の言う「プロが見てると言う緊張感の中でエンターテイメントは向上する」の真髄だとも思う一方で、上沼や志らくについては、もう少し「どこが古いのか」を具体的に説明する必要があっただろうと私は思います。

少なくともこのあとに登場する漫才師の心境としては、「会場をやりづらくする審査コメントを放ってくれたな」と苦々しく思った人もいたことでしょう。後半に登場するミキ昂生が、そのネタ披露後の立川志らくの審査コメントに対してぶち込んだ次の言葉は、その演者たちの気持ちを代表していたのではないかと私は感じました。

志らく:恐らく今日やった漫才のなかでは一番素晴らしいし、今後30年40年、漫才師として生きているのは、恐らくこのお二人だろうと、思います。ただもっとなんか凄い新しいモノをどーんとこういう、なんか、欲しいですね。なんか心が揺れるくらい、うわーっ、すごい、この発想は我々には到底及びもつかないっていうような、ものすごい新しいものがあったらば、10点くらい上乗せしましたけれども。
昂生:なるほど。志らく師匠、あの、良いことだけ言ってください。これからも

ミキの昂生が「これからも」と言うのは、別のコンビへの審査コメントでもそうして欲しい、という意味です。自分たちへのコメントに辛辣な部分が含まれていることへのツッコミに留まらず「これからも」と昂生が言うのには、大きな別の意味があることが読み取れると思うのです。
和牛の川西は、決勝進出した演者全員が、会場を盛り上げようという気持ちで団結していたと語っていました。和牛は丁寧に個別批判を避ける形で語っていましたが、それぞれの演者が語る言葉を1つ1つ紐解いていけば、会場を冷やした最大要因である立川志らく上沼恵美子の審査コメントにムカついていた演者もいただろうなと私は推測しますし、ミキ昂生の発言は、それを裏付けるものだったと言えるのではないでしょうか。
ちなみに、上沼恵美子の審査コメントは立川志らくと同じ辛口コメントでありながらも最終的に笑いを取っているものがほとんどでした。ただ、「好き・嫌い」という言葉を多用している。なので、そこをどう評価するかで上沼恵美子にムカついた人や立川志らくにムカついた人がわかれただろうなと私は推測します。
(だから立川志らくの審査について述べている下記ブログについては「半分わかるけど、半分たりてない」と思います。)
http://memushiri.hatenablog.com/entry/2018/12/04/213330

さて。トップバッター見取り図への審査コメントが規定した重い空気の中で、各演者のネタと審査が進行していきます。
ここからは、上沼の審査コメントに演者がムカついたであろうポイントに絞って説明します。

ジャルジャルへの審査コメント

予選ではトップのウケだったと証言する芸人も多く、優勝候補だったジャルジャル
実際この日の決勝でも、会場を爆笑させる漫才を披露しました。
審査員も軒並み90点台の高得点を付ける中、ひとり88点と低得点をつけた上沼。

今田:さあ、上沼さん。いかがでしたでしょうか。
上沼:振らんといて…。
今田:来ました、「振らんといて」がw いちばんちょっと辛めの点数でしたが
上沼:ジャルジャルのファンなんですが、ネタは嫌いや。
(??:出たな〜)
(??:E%&やわ〜)
会場:(ザワつく)
今田:このネタはあんまり?
上沼:ごめん
今田:好きくない?
上沼:ごめん。次回作るときに大変やと思うし。
今田:(舞台裏に向けて)はい裏側、笑わないよー 会場:(笑い)
上戸:ザワザワ、ザワザワw
今田:それも審査員のみなさんの考え方ですから。
上沼:ごめんね。ごめんね
今田:いえいえ、とんでもないです。

放送を丹念に見返すとたしかに聞こえているのですが、上沼の「嫌いや」に対して小さく入り込んだ「出たな〜」という感想の声があります。声としては松本のようにも聞こえるのですが、それが誰の声なのかは分かりません。ただ、予想外に辛口な上沼のコメントにザワついた会場と舞台裏をフォローするために今田が「裏側、笑わないよー」とツッコミを入れています。

すでに人気を獲得しながらも、ラストイヤーまで漫才に向き合ってきたジャルジャル。会場ウケも申し分なし。
そんな彼らのネタを「嫌い」のひとことで否定した上沼を、同じくラストイヤーだった武智はどう思ったか。再掲します。

武智 :嫌いですって言われたら、更年期障害かと思いますよね
(2018年12月02日 武智個人のインスタライブ)

上沼がこの日に「嫌い」と発言したのは、ジャルジャルに対してだけです。
つまり、炎上した武智による上沼批判は、ジャルジャルへの審査コメントを念頭に置いたものだとわかります。

ギャロップへの審査コメント

予選ではジャルジャルに次ぐ2番目のウケだったとも言われるギャロップ
ジャルジャルほどテレビ露出がなく新鮮味も感じられるだろうから1番の優勝候補なのではないか、とも目されていました。
しかし、この日の会場では思ったほどウケなかったようでした。

富澤:見てて非常に、おじさんの安心感みたいなのはあったんですけど。デザイナーとかあの辺も面白かったんですけど、なんか爆発はしなかったかな、という印象ですね。
今田:なるほど。さあ上沼さん、いかがでしたか。
上沼:全く同じ意見です。4分のネタではなかった、はい。なんか落ち着いて、寄席へ見に行って、これから15分楽しくなるんやろなっていう、、惜しいな。ちょっと場所負けしたかな。そんな感じがしました。ごめんね
今田:さあ、松本さん、いかがでしたか。
松本:そうですね、だいたい僕もみなさんと同じですかね。あと、その林君かな、言うほどハゲてないからねw
会場:(笑い)
林 :いやめちゃめちゃハゲてますよ!
毛利:ハゲてるでしょ!
今田:いやめちゃめちゃハゲてますよ!
林 :え、どないなってます?
今田:大丈夫や、間違うてないよ
林 :大丈夫?
今田:大丈夫や、ちゃんとハゲてる
林 :ちゃんとハゲてる? 大丈夫。(首を傾げる)
巨人:いやー、なんでこのネタやったんかなって思う。今年の最初からすごいええ漫才やってはったんですよ。これはひょっとしたらダークホースNo.1かなって思ってました。もっとおもろいネタいっぱいあります。劇場でもう、めっちゃウケてるんですよ。僕はすごく買ってたんですけどね。ちょっと盛り上がりが欠けましたね。なんでこれしたん?
林 :いやー、なんでなんですかね
巨人:2本目にええの置いてたん?
林 :いえ、これが1番いいと思っちゃいましたね
今田:ギリギリまでやっぱり迷う?どのネタをチョイスするかって言うのは?
巨人:でもほんまに、彼らの漫才はもっと面白いです。これだけは言うておきます
今田:うーん。さあそれでは、志らくさん。いかがでしたか?
志らく:おそらくあの、広い劇場とかでのんびり見てると面白いんだろうけど、テレビサイズで、ひときわこっち(舞台)とモニター見てたんだけども、禿げ方があんまり面白くないんですよね。
会場:(笑い)
今田:ちょっと待ってください、それは言いすぎじゃないですか。「ハゲ方が面白くない」?
志らく:遠くで見てると面白いけど、モニターで見ると大して、どこにでもいるハゲだなあっていう感じで、あんまり面白くないのよ
今田:w 芸能的なハゲでは、たしかにないです
林 :後ろからめくれるようにハゲてたらいいんですかね?
毛利:怖すぎるやろ
松本:(会話に割って入って)でも、全然ハゲてないよね
今田:いやハゲてますて!
林 :めちゃくちゃハゲてるんですよ!
今田:めちゃくちゃハゲてるんですよ!
林 :自信持って言います、めちゃくちゃハゲてます
今田:おかしいね、みんなそれぞれ見てるところが違うんですかねー。どう見えてるんでしょうかw
上沼:(会話に割って入って)ただ、自虐いうのは、あんまりウケない。ね?
今田:自虐は?
上沼:自分を蔑むっていうのは基本的にはウケないっていうことを、これだけのキャリアやったら知っとかなあかんわ。何してんのよ今まで
会場:(笑)

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何してんのよ今まで

今田:最後w 最後、めちゃめちゃ怒られたなw
毛利:ラストイヤーでめちゃくちゃ怒られて終わるんですね、僕らw

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ラストイヤーでめちゃくちゃ怒られる

上沼:(頭を抱えて、しまったなというリアクション)

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上沼頭を抱える2
林 :さっきまで最高の気分やったのになあ。
今田:じゃあ悪いけど、帰ってくれるかなw
会場:(笑い)
上沼:(手を叩きながら笑う)そうかー
松本:そうかー、むずいな
上沼:難しいな

M-1グランプリは、出場者にとっては売れるための大きなチャンス。
ラストイヤーにしてようやく決勝に出れるそのチャンスをつかんだギャロップ林が、めちゃくちゃ怒られる。
同期の武智や久保田は、最後の上沼のダメ出しをどう見ていたことでしょう。

ミキへの審査コメント

敗者復活を勝ち上がったミキ。
会場ウケも良く各審査員からの高い点数が並ぶ中、上沼がズバ抜けた高得点を出します。

今田:さあ、上沼さん。98点!
上沼:なんかあの、べつに贔屓してるわけじゃないんですよ。
今田:はい。
上沼:でもフアンだな。
昂生:嬉しいですw
上沼:ギャロップの自虐っていうのと違って、お兄ちゃんのは突き抜けてる。
昂生:あ、嬉しい!
上沼:その、なんか力の差がある。わたしはフアンだな、ミキの。
昂生:「ファン」じゃなくて「フアン」ていうんですねw
亜生:やめなさい!
今田:ギャロップの林君とはちゃうかった?
上沼:林君とはちがうねん。林君は暗いねん! あの、頭は明るいけど。あの、要するにお兄ちゃんの自虐は突き抜けて芸になっている。人徳がある。だから(最終)決勝に出てほしかった!
今田:大絶賛!
昂生:ええっ!? 人徳ないですけどねぇ、自分で言うのもなんですけどもw
上沼:あるのよ。
今田:いや、大絶賛よ。
亜生・昂生:ありがとうございます!

審査コメントで立川志らくが「新しいものが欲しい」と評した通り、オーソドックスな古いスタイルの漫才で自らの顔をブサイクだとして自虐するネタを披露したミキ。

上沼は、トップバッターの見取り図に対しては、「前半が古いです」と低評価しました。その一方で、やはり古いタイプのネタを披露したミキに対しては、98点の高評価です。なお、斬新なネタを披露したジャルジャルに対しては、「ネタは嫌いや」と低評価しています。

上沼は、禿げたおじさん顔のルックスを自虐するネタのギャロップに対しては、「自虐いうんはウケない」とダメ出しをしました。その一方で、自身のルックスをブサイクだと自虐するネタのミキに対しては、「お兄ちゃんの自虐は突き抜けて芸になってる」と絶賛しました。

上沼の、その矛盾するかに見える評価は、「好き・嫌い・ファン」などの言葉で表現されていました。

ここまでをまどマギにたとえて言えば。
数多のラストイヤーの運命を束ね因果の特異点となったミキを1位評価して希望と絶望の相転移を図ろうとしたインキュベーター。それこそが上沼恵美子であり、魔女となった久保田武智の呪詛を受けてしまうのは当然のことだった、ということになります。かつて漫才界の白雪姫と言われた上沼恵美子の白さは、今やインキュベーターとしての象徴の色にも見えてくるようです。

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海原千里万里

6、批判の真相の深層

再度、時系列でまとめると、こうです。
<敗者復活>
・敗者復活会場ではラストイヤーのプラスマイナスが1番ウケていたが、「私はミキに来て欲しい!」と発言。
・そしてミキが敗者復活と決まって「嬉しい!」と発言。その際、審査ではミキをひいきしないと断言。
<審査点数>
・しかし、実際の審査ではミキを98点評価。ミキを1位評価したのは上沼1人だけで得点もずば抜けていた。
<審査コメント>
・見取り図には「古い」と批判していたが、漫才が古いと言われがちなミキに対しては「好き」と激賞。
・ラストイヤーのギャロップに「自虐はウケない」と批判するも、同じく自虐のミキに対しては「好き」と激賞。
・ラストイヤーで会場ウケも上々だった斬新なネタのジャルジャルに「ファンやけどネタは嫌いや」と批判。

批判の真相

ここまでから推測する、武智や久保田の思い。その真相は、次のようなものだったと私は想像します。
<M1への思い>
「人気がなくラストイヤーまで売れない芸人にもチャンスがある、完全実力主義であるはずのM1グランプリ。それが、上沼による好き嫌いという人気投票のような審査によって汚された。上沼は自分の感情による辛口コメントで会場の雰囲気を冷たくして、漫才をやりづらい状況も作ったし、その好き嫌いで不当に貶された見取り図やギャロップジャルジャルが可哀想だ。このままでは今後のM1のために良くない。上沼から酷い評価を受けたわけではない自分たち(とろサーモン久保田・スーパーマラドーナ武智)が立ち上がって、正面から言うしかない」
おそらく、そういう感じの思いがあって例の暴言に繋がったのではないか。

次回予告

それを踏まえて、次回。
「上沼の審査コメントは矛盾だらけの無茶苦茶なものだったのか」を検証します。

上沼恵美子は大昔にちょろっと漫才かじったくらいのもんで、いまは関西テレビの役員である夫の権力を使って編集自由なTVショーの中でのさばっているけど、漫才を見る目がない舞台を忘れた白いオバちゃん。だからミキみたいな若い男の子の可愛さに耄碌して異常な高得点を出してしまったんでしょ。

いま騒動を嬉々として見つめている人の中にも、どこかそんな風に思っている節があるのかもしれません。

だからこそ、上沼の審査自身の内容から、そこに正統性があったのかどうか検証することが必要です。

・見取り図には「古い」と批判していたが、漫才が古いと言われがちなミキに対しては「好き」と激賞。
ギャロップに「自虐はウケない」と批判するも、同じく自虐のミキに対しては「好き」と激賞。
・会場ウケも上々で斬新なネタを披露したジャルジャルに「ファンやけどネタは嫌いや」と批判。

次回。
これらの矛盾しているように見える審査内容について、あらためて検証します。
先に結論を言うと、上沼恵美子が「好き」と述べる際の審査基準には「容姿」ではない重要なファクターがあると私は考えています。

また、ここでは触れていませんが、先の「人気vs実力」という考え方の深層には2つの偏見が含まれていると私は考えます。
1つ目が「女vs男」というジェンダーの軸。
2つ目が「テレビvs舞台」という場所の軸。
それらの偏見こそが、この上沼批判がクソである最大の理由だと私は思っていて、これも、上沼の審査内容をあらためて見直してみることで浮き彫りにしていきたいと思います。

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