フランス女性と同棲中

ナンパしたフランス人と同棲する高卒ニートの整理と極論

あなたは「沼」を知っているか

「今のは沼だった」と、その人は言う。
僕は、その言葉に引っかかりを感じる。

みんなで楽しく遊ぶゲームを、みんなで楽しく観戦している時だった。
だから、そこであえて言うようなことはしない。
(ちなみにそれは、スプラトゥーンという、イカ人間がローラーで敵を轢き倒す任天堂のシューティングゲームだ)

けれど僕には、引っかかっている。
喉に魚の小骨が引っかかって取れない時のように、耳に言葉が引っかかって上手く飲み込めず、ウニウニして少し気持ちが悪い。
だから、ここに吐き出すことにする。
ここは、耳から掻き出した言葉を書き出す場所だから。

沼の経歴

あなたは、「沼」を知っているか。


沼は、「馬鹿」を意味するスラングとしてよく使われている。
その意味で気軽に使う人は多い。その時も、そうだった。
ただ僕が気になってしまうのは、この言葉の経歴だ。

その大元には、「知的障害:ちてきしょうがい」を略した「知障:ちしょう」という言い方がある。これにわざと別の漢字を当てた「池沼:ちしょうorいけぬま」という呼称があり、それをさらに省して「沼:ぬま」という言い方をしている。

つまり、相手に対して「お前は馬鹿だ」と言う代わりに、「お前は知的障害者だ」と言っていたものが、「お前はちしょうだ」と言うようになり、「お前は池沼だ」と言うようになり、「お前は沼だ」と言うようになって生まれた言葉なのだけれど、一貫して知的障害者を馬鹿にし差別する意識を前提としている。それがために隠語として発展しているのだ。

僕は、母が知的障害者の保助施設で勤務していたこともあって、知的障害を持つ人やその家族とそれなりに関わりがあった。だから、「ちしょう→池沼→沼」これらの言葉に対して、一様に嫌悪感を持っている。

それらの言葉は、知的障害への無知と差別意識の結晶だからだ。

幽霊との付き合い方

とはいえ、言葉の転用は進んでいる。
元は知的障害を指す隠語だとは知らずに使う人も多い。
「馬鹿なことしちゃった、失敗しちゃった」という自虐的な文脈で「沼だった、沼ジャンだった」と軽く言うことに対してまで、いちいち目くじらを立てても仕方がないよね、とも思う。
元の意味を離れ、沼という言葉それ自体で独立し始めているような部分もあるからだ。

言葉には、色んな場面で色んな使われ方がある。
それは、話し手の意図と受け手の解釈の中で揺らぐ幽霊的なものでしかない。

そもそも僕自身が知的障害の関係当事者ではないし、「沼」という言葉に対して嫌悪感を持ってしまうものの、相手の意図を考慮して嫌悪感を希釈するようにする。移ろう言葉に合わせ、僕も移ろいたいと思うから。

でも、もしかしたら、目くじらを立てる人もいるかもしれない。

任天堂や、アオリちゃんホタルちゃんの声優さんに、「おたくのスプラトゥーンというゲームのユーザー、「沼は死ね」「沼ジャン殺す」とかいっぱい言ってるけど、あれ、知的障害への差別を含んだヘイトスピーチだから、そういうの止めるよう呼びかけてくれないか?」と手紙を送るような人もいるかもしれない。
これによく似た案件で、実際にゲーム会社や声優に手紙を送り、その内容・経緯をネット上で公開している人もいるくらいだから。

まとめ

こういう小魚の小骨のような言葉。
引っかかりを感じた気持ち自体はどこかに吐き出すべきだしそうしたいと思うと同時に、小魚から目くじらを出現させてしまうことにも引っかかるものがあるので、そうならないようにしたいよねと、そういうことを、思った。

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