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フランス女性と同棲中

ナンパしたフランス人と同棲する高卒ニートの整理と極論

賢いと思わせるTED風プレゼンのテクニックを解説してみる

約6分のプレゼンが話題になっているようです。
字幕を付けた人のページ:頭良さそうにTED風プレゼンをする方法

ウィル・スティーヴン 「頭良さそうにTED風プレゼンをする方法」 - YouTube


要約すると、
「伝える中身が何もなくて情報ゼロでも、テクニックだけで賢く見せるプレゼンはできる。こんな風にねw」
っていう感じ。

で、そのプレゼンを真に受けて
「たしかに、中身がないテクニックだけのトークに騙される奴いるよなw」
「けっきょく人間なんて中身を見てなくて、外見の印象しか見てないんだよなw」
という極端な反応をしている人がいたので、ちょっと解説しておこうと思いました。

まず折角なので、このプレゼンで示されている「TEDでのプレゼンテクニック」についての内容情報を分かりやすいカタチに引き直してみます。

0分~ 驚かせよう!

行為:まず自分の主張を伝える。
方法:スピーチ。言葉を変え、表現方法を変えながら、何度も繰り返して主張する。
特徴:その主張は、観客の注目を集めるような表現であればなお良い。

この動画例では、「私が伝えたいことは何もない!」というパラドックス的な主張で驚きを与えている。

1分~ 参加させよう!

行為:観客が手を挙げるような質問をする。相手の身体を動かす。
方法:アクション。自分もボディランゲージで身体の動きを見せる。
特徴:質問された観客が自分ごととして笑うようなジョークを入れるとなお良い。

この動画例では、右手を動かし、左手を動かし、ときに眼鏡を直すというボディランゲージについて自己言及しながらジョーク要素の強いプレゼンなのだと理解させて*1、観客への質問で初ウケ。さりげなくミラーリングを取り入れる。

1.5分~ 共感を呼ぼう!

行為:観客の反応に答える形で個人的な話をする。
方法:エピソードトーク。手を挙げた観客の様子に反応する形で、LIVE感を出しながら話す。
特徴:観客の緊張をほぐすため、可愛げのある恥ずかしいような話であればなお良い。

この動画例では、観客がそれまでに見ていたプレゼンを脳内再生させるメタな「あるあるネタ」で共感を呼んでいる。
個人的な話をするときの「身振り手振りに表情に声色」は、パフォーマンスとして重要。ここでラポールをしっかり形成。

2分~ 再主張しよう!

行為:個人的な話を一般化する形で再度自分の主張を伝える。
方法:人物スライドなどを提示しながら、角度を変えて主張する。
特徴:「スライドを使う」以外にも、主張を沁み込ませるように「あえてゆっくり話す」など、角度を変える工夫があればなお良い。

この動画例でも、2分間でのラポール形成により観客が「ちゃんと聞く」準備ができた状態での再主張なので、角度を変えることが出来れば特に主張するコトバ自体の強度は必要ない。このプレゼンでは、これ以後はジョーク(でもあり主張の具体例でもある情報)がメインに移行する。

2.5分~ 根拠を提示しよう!

行為:主張の根拠となるデータを提示する。
方法:数字スライドを利用する。
特徴:いくつかの数字を、具体的に挙げていく。

この動画例では、あたりまえ体操的なネタとして利用。「何かしらの情報があるべきところに、当たり前すぎて情報価値がゼロに思えるような事実を並べる」というタイプのジョークにしながら、主張の具体例も兼ねている。

3分~ 根拠を追加しよう!

行為:主張の根拠となるデータを追加提示する。
方法:グラフスライドを利用する。
特徴:円グラフや棒グラフなどいくつかのグラフを、具体的に挙げていく。

この動画例では、先ほどと同様にネタとして利用。あたりまえネタでもあるし、大した情報でなくても数字やグラフとして提示すれば説得力があるように見える、という皮肉の入ったあるあるネタでもある。ネタ要素が複合しているのでウケやすく、この動画の中でいちばん笑いが多いところ。「何も情報がないんです!」という序盤ではウケなかった自虐ネタも、ここではウケるようになっている。

4分~ 目的を提示しよう!

行為:主張の目的を提示する。
方法:イメージスライドを利用する。
特徴:過去のデータに基づく主張根拠の後に、未来のイメージに基づく主張目的を提示する。

この動画例では、しきりに行ったり来たりしながら言葉を矢継ぎ早に繰り出す方法を挙げているが、あまり上手くいっていない。ジョークとしては、意味のない単語を組み合わせる不条理ネタ(立川談志風に言えばイリュージョン)を狙って失敗した感じ。このタイプのジョークで観客を笑わせるのは難しいとこがあるので、今回は残念だったね、という感じ。

5分~ 再主張しよう!

行為:最初の主張をもういちど繰り返す
方法:再び冒頭と同じくスライドなしのスピーチ
特徴:話の速度と音量と音程を落としてドラマティックな展開を期待させる。そうして最初の主張を再度くりかえした後に聴衆に疑問を投げかけて去ると、ぽい余韻が残ってなお良い。

この動画例では、直前のハイペースで言葉を繰り出す場面から一転して、スローペースでボリュームとトーンを落として観客に問いかける方法を見せている。
なお、眼鏡のくだり以外では大したウケなし。

使われている主なプレゼンテクニックまとめ

・主張→具体例→再主張→主張根拠→主張目的→再主張、という黄金パターンの構成。
・注目させて共感させてから、スピーチを始める。ラポール大事。
・速度と音量と音程。場面に合わせて幅広く変える。飽きさせないの大事。
・スピーチにアクションにスライド。場面に合わせてコミュニケーションチャンネルを変える。飽きさせないの大事。
・自虐、客イジリ、あるある、あたりまえ、パロディ。場面に合わせてジョーク種類を変える。飽きさせないの大事。

感想

上記に挙げたように、プレゼンテクニックについて豊富に明示(そして暗示)しているプレゼンなので、実際には情報ゼロではありません。時間構成や見せ方など、どれをとっても「バリバリ準備してるよね」っていう感じ。

個人的には、「何も主張がないとか準備してないとか言ってるけどガチガチに準備してるやん;」っていう嘘が鼻について笑えませんでしたが、もし会場でそれまでのプレゼンを聞いている流れの中でこれを見たら、たぶん僕も笑っていたと思います。

「パロディとして本当よく出来てるよね」って感じ。

外見と中身、どちらが大事なのか。

『人は見た目が9割』っていうトンデモ本が売れたり、今回のような『中身なんてゼロでもプレゼンできるぜ』っていうジョーク動画が人気になるのは世の常ですが、これらの主張には「ウソや誤り」が含まれているので、そこまで真に受けないことが重要です。ジョークは笑うためのものであって、真に受けるものではありません。

言うまでもないことですが、外見も中身も、どちらも大事です。
伝わり=外見×中身
どちらかがゼロでは、誰にも何も伝わらず、広がりません。

頭良さそうにTED風プレゼンをする方法

これ、1次情報はnothingかもしれないけどメタ情報は多く、スライドもトークも作り込んでる。 なので、情報ゼロでも出来るって部分は詭弁。これ見て「印象が全て」と言う人は、皮肉なことにアホ聴衆を当に体現してる。

2015/01/24 13:54

余談

ちなみに、ジョーク動画に付けて賢いと思わせるコメントのテクニックを紹介してオシマイにしておきます。

海外モノ

シュール系なら、とりあえず「モンティ・パイソンを彷彿とさせる」と言っておけばOK。なんでもやってるから、なんでも当てはまります。
ベタ系なら、とりあえず「チャップリン」の単語を出しましょう。

和モノ

スベってたら、「立川談志の言うイリュージョンに挑戦したが失敗している」と言っておきましょう。「イリュージョン」自体が解釈の幅がある単語だし、スベってることのフォローにもなります。
ウケてたら、「桂枝雀の言う緊張と緩和が上手く表現されている」でOK。

そんな感じ。

*1:メガネの件ではまだ笑いにつながっていない。それまで観客はプレゼンの意図が読めていなかったから

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