彼氏は日本人。彼女はフランス人。

日本人とフランス人の国際カップルの記録

あなたのために言う、やめた方がいい。

~概要~
あなた(お前)のために言うけど…
1、言ってはいけない、その理由。
2、では、どうするか、その対策。
3、但し、言ってよい、その例外。

なお、タイトルには2つの意味があります。
その解説は最後に。

1、理由:あなたのため、と言うと、反発を受ける

例えば、母親が娘に向かって諭すとします。
「あなたのために言うけど、あの人と付き合うのは止めておいた方が良いわよ」
この台詞は、かなりの確率で反発を喰らうとコウモリは思っています。
「私のためって言ってるけど、お母さんが嫌なだけでしょ!?」
というように。

もし本当に娘のためを思って伝えたいのだとすれば、その言葉を前置きに使うのは良策ではないと思うのです。

「あなたのために言うけど」という枕言葉は、かなりの確率で反発を受ける。コウモリは、2つの理由から、そう考えています。

①枕言葉に付随するイメージ

1つめは、その枕言葉が持つイメージです。
通常、相手のためを思った言葉は、わざわざ枕言葉を付けなくても伝わるものです。

「あなたのために言うけど、危ない!車が来てる!」
「あなたのために言うけど、今日もがんばってね!」
枕言葉は明らかに不要。

では、この枕言葉はどんなときに使われるのか。
それは、『聞き手から見て、聞き手のためとは思いづらい言葉が続くとき』です。そのため聞き手にとってこの枕言葉は、『自分のためとは思いにくい言説』のフラグとして機能してしまいます。

つまり、この言葉のイメージが『嘘くさい』ものとして定着しているため、意味と効果が逆になってしまいがちだと思うのです。*1

本来の言葉の意味と相手に抱かせる印象効果が逆になってしまう残念な例として、次の言葉と同列に考えた方が良いかもしれません。
「いや、おれ童貞じゃねーし」←童貞でしょ!
「ちがうし、包茎じゃねーし」←包茎でしょ!!
「べ、べつに好きじゃねーし」←好きなんでしょ!?
「お前のために買ったわけじゃねーし、拾っただけだし」←私のために買ってくれた!?

なので、メタにジョークとして使うのでなく、ベタにマジメに「相手のためを思って」いるときには、その枕言葉は避けた方が良いと思うのです。もし本当に、相手のためを思っているのならば、相手への伝わり方(意味と効果)にも配慮するべきです。安易に「あなたのため」と言ってしまえる無配慮が、その思いの浅さをも伝えていると思うのです。

②自分を決めつけられたくない

2つめは、「それが私のためになるって、勝手に決め付けないで!」という反発です。
「あなたのために…」
「いや、自分のためになるかどうかは、自分で判断するから。お前が勝手に決めるな」
この反発心を考慮することで、どう言えば良いのかも分かります。その対策を、次に紹介します。

2、対策:あなたのため、と言わずに、どうするか

①伝え方をIメッセージに変える

あなたのため、と言うから反発を受ける。
それならもう、いっそ、自分のため、と言ってしまう方が良い。

before
「君のために言うけど、挨拶はしっかりした方が良いよ。社会人としてのマナーだし、今の君の挨拶の仕方を続けていると、これからの君が困るからね」
after
「私のために言う。挨拶はしっかりしてくれ。私は、挨拶を社会人のマナーだと思っているから、今の君の挨拶の仕方が気になるんだ。次からは頼むね」

これは、コーチング理論で「YouメッセージからIメッセージへ」として紹介されるものに近い手法です。
ひとは、「あなたは、大学に行った方が良い」などのYouメッセージには、反発しやすい。聞き手には、「本当に良いと言えないのでは?」と否定する余地があるからです。

けれど、「わたしは、あなたが大学に行ってくれると嬉しい」などのIメッセージには、反発しにくい。聞き手には、「本当に嬉しいと言えないのでは?」という否定は難しく、話し手の言葉をひとまず受け取る回路が生まれるからです。

もちろん、この間接法とも言えるIメッセージを多用するようになってしまうと、それはそれで問題があるとも思うので、その都度でバランスを取りながら、伝え方を考えていくのが良いのではないでしょうか。

②行動と状況で伝える

それでも、やっぱり伝わりにくいときはあると思います。
「言葉」は誤解を生みやすい。だから「行動」で伝える。
Iメッセージどうこうよりも、まずはそれが基本だと思います。

例えば普段はヘラヘラ笑ってごまかしてばかりの母親が、正座し、目を見て、あらたまって話し始める。
例えばいつも休みなく駆け回っている忙しい上司が、時間をとって2人きりの場を設けて話し始める。

それらの「行動」で示された「状況」は、ときに言葉よりも雄弁に、「あなたのために話しているのだ」という事実を伝えます。あなたのため、という言葉には、5文字を発するだけのエネルギーしか使われていません。その程度では伝わるハズもないと思うのです。わざわざ「あなたのため」という言葉を発したいくらいに、聞き手の誤解可能性が高い状況なのです。

そもそも言葉は、意思を伝えるためには最も安上がりな手法です。本当に相手に伝えたいのであれば、それなりのコストをかけ、そしてコストをかけたことを相手にも分かる「状況」を作ることが重要だとコウモリは考えます。

3、例外:「あなたのため」と言ってよい場合

①聞き手が素直な性格のとき

とはいえもちろん。
「これはあなたのために言うけどね…」という枕言葉を素直に受け取れる性格の聞き手に対しては、ストレートに伝えても良いと思います。

②話し手が主語にならない、伝聞情報を話すとき

または、伝聞情報を伝えるときにも使えます。
例えばこういうパターンです。
「あなたのために言うけど。齊藤さん、本当はあなたのことが好きだって言ってたよ!」
「あなたのために…」という枕言葉が反発を受けるのは、「それ、自分のために話してるんでしょ!?」という疑問が湧きあがるからであって、自分が主体ではない伝聞情報の前置きとしては、けっこう有効に使えるものだと思います。

③聞き手が明確でないとき

または、一対一の会話ではないときにも有効です。
テレビCMやブログ記事など、不特定多数に向けてコトバを発することが通常である媒体においては、聞き手にとって「あなた」が自分を指しているのか不明なために、それがいったい誰を指しているのか気になってしまうという効果があると思うからです。

例えばこの記事のタイトルを、その用法として使ってみました。
ここまでの解説で明らかな通り、この記事のタイトルは
『「あなたのために言う」という枕言葉は、やめた方がいい』
という意味です。けれど、もうひとつの受け取り方を考慮された方もいたハズです。
『あなたのために言う。(〇〇をするのは)やめた方がいい』
という意味です。
この解釈の場合、聞き手は、「何か喧嘩をしているのだろうか? 書き手は、何をやめた方がいいと言っているのだろう? あなたとは誰を指すのだろう?」などの疑問を持ち、その疑問が興味となることもあると思うのです。(良い例が浮かばなかったので、そういうタイトルにして試してみました。分かり辛くてすみません;)

いま思いついた例外はこのくらいですが、他にも色んなパターンがあると思うので、使うべきか使わないべきか、いろいろ悩んでみると面白いのかなーと思います。

追記

ちなみにコウモリは童貞じゃないです。もちろん包茎でもありません。それにこの文章をいま読んでくれているあなたのことが好きで書いてるわけじゃないっていうか、もう、なんだったら嫌いだし、ストーカーですかヒトのブログ記事を勝手に読んで一体どういうつもりなんですか好きなわけないじゃないですか、そんな言い方をされてもまだ次の言葉を読み続けるのですかこの腐れ外道、そんなあなたのために書いてるわけないじゃないですか、この文章はただ単純に自分が書きたい文章を自分のために書いてるだけなんでまあ読みたかったら他の関連記事も勝手に読めばいいけど、あんまりたくさん読まないでよねっ

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→ そのコトバ、誰のために書いてますか?

やめた方がいい言葉シリーズ次回
→ 「がんばれ」って言葉はやめた方がいい。(編集中)

*1:コンスタティブとパフォーマティブの乖離

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