読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

フランス女性と同棲中

ナンパしたフランス人と同棲する高卒ニートの整理と極論

食事って、どのくらい時間かける?/ニートのフランス滞在記⑨


出所:Data - OECDより作成

これを見ると、日本も食事時間の長い国みたいだけれど、フランスって食事にべらぼうな時間をかけるんだね。
ちなみにフランス人と日本人で構成されている我が家は、イギリス人の平均よりも食事時間が短い。国によっても色々だけれど、家庭によっても色々なのだ。

僕は超早食い。1人暮らしのときは一食につき5分もかけなかった。そして彼女も早食い。だから同棲を始めてからの2人の食事時間は、一食につき約15分。そんで朝か昼は5分で済ませるから、一日三食で35分。ぶっちぎりで短い。「もう少しゆっくり食べた方が良いかもね」それが2人の共通見解である。

祖母ミシュリーヌの家

フランスに着いてからというもの、僕らは否が応でも食事に時間をかけることになった。バゲット、肉、チーズ、デザート。一品ずつ順番にテーブルに持ってきて食べるのが、フランスでは当然だったからだ。なるほど、そりゃ食事時間が長くなるよ。

特にこれは、祖母ミシュリーヌの家で顕著だった。

彼女の祖母ミシュリーヌの家に着いた初日の夜、ミシュリーヌとジャンは豪勢な晩ごはんを用意してくれた。まず前菜として、フォアグラを食べさせられる。貧乏生活しか知らない僕は、そんな高級なものを食べたことがない。まあ前菜なのだからと思い、居酒屋のお通しで出される枝豆みたいなもんだろと思って食べ進める。うん、枝豆の方が好きだなあ。

ミシュリーヌが、フォアグラについて少し説明する。マリーヌに向けてフランス語で説明したあとで、僕に向けて英語でも説明してくれた。ただ、如何せん僕の英語力は乏しい。加えて、ミシュリーヌの英語もフランス訛りが強い発音なので、決して聞き取り易くはない。そこで僕はマリーヌに、日本語でたずねる。
「お祖母さん、なんだって?」
「このフォアグラは、とても良いものを用意してくれたんだって」
「ああ、そうなんだ。メルシー、ミシュリーヌ」
フォアグラの中でも高級なフォアグラ。きっと、恐ろしく高い値段がするのだろう。枝豆界で言えば、枝付き枝豆にあたる存在だろうか。うん、枝豆の方が好きだなあ。

(ちなみにこの2週間後あたり、日本ではフォアグラ残酷論が盛り上がっていた。参考:fujiponさんの中立記事。僕に時間があれば、「フランスで高級フォアグラを食べた私としてはですねー、あんなのは枝付き枝豆みたいなもんでねー」と偉そうに語る記事でも書いていたのだけれど、あいにく嫁姑戦争に巻き込まれて自由時間がほとんどなかったために、断念せざるを得ないのだった。)

ワインを勧められ、飲んでみる。これも良いものを用意したよ、というような説明がある。
「メルシー、セボン!」(ありがとう、これ美味しいよ)
美味しいね、とは思うけれど、日本のスーパーで買う100円の酎ハイでも悪くないよね、とも思ってしまう。申し訳ないけれど、食べられりゃ充分と考えている僕のような人間にとっては、なんだって美味しいのだ。

つまり正直なところ、僕は味オンチなので、さっぱり分からない。

味オンチでも分かること

ただひとつ分かるのは、ミシュリーヌとジャンが歓迎してくれている、ということだった。値段がどうとかはよく分からない。けれど、ミシュリーヌとジャンを見ていれば、その気持ちはとてもよく分かる。久しぶりに会える孫娘マリーヌと、そこにくっ付いてきたひょろひょろジャポネ。きっとこの食事は、最大限のもてなしなのだ。

そしてバゲット(日本で言うフランスパン)をかじりながら、メインディッシュを待つ。牛だか羊だか忘れたけれど、これも良いお肉のようだ。なんだか分からないけど、ステーキって美味しいね。
「メルシー、セボン!」
ああ、お腹いっぱいになってきた。

それでも、まだ食事は終わらない。ミシュリーヌは冷蔵庫からフロマージュを持ってくる。フロマージュ、かっこわらい。チーズのことである。簡単に言えるコトバを長く呼ぶとき、いつも僕は笑ってしまいそうになる。

ふろまーじゅ。なんだか分かんないけど、超とろっとろな感じがするぞ!

カマンベール、ブルーチーズ、クリームチーズ、どれでも好きなものを選べと言う。僕はカマンベールを食べた。お腹いっぱいだけれど、美味しいね。
「メルシー、セボン!」

そうして、完全に満腹になったのだけれど、まだ食事は終わらない。デザートがあるのだ。

ガレット・デ・ロワ

特にこの日は、新年を迎えてからの再会ということで、フランスの伝統的なお菓子であるガレット・デ・ロワを食べることになった。
ガレット・デ・ロワあれこれ、toyaさんの記事
ガレットはアーモンドクリームの入ったパイ菓子なのだけれど、ピザくらいの大きさがある。そして、切り分けるときにちょっとしたお遊びがある。

実はこのガレットの中には、小さな人形が1つ入っている。そして切り分けられたガレットのうち、その人形があるピースをもらったヒトが、当たり。ガレットを買うときに付いてくる紙製の王冠(クラウン)をかぶって、王様気分を過ごすのだ。

新年のおみくじみたいなもんでしょ!? 超おもしろそう!
日本の節分豆まきも面白い家庭内行事だと思うけど、同じくらいの面白さはあるかも。

ただ、ガレットを切り分けるときにナイフが人形に当たって、どのピースが当たりか事前に分かってしまうこともあるようで、「家族のうち一番小さい子供が目隠しをして、大人の誰かが切り分けていく順に、その子が誰に配るかを指名する」のが一般的なようだ。

ミシュリーヌの家では、日本からやってきた僕が指名役を仰せつかった。家庭ごとに違うのだろうけれど、ミシュリーヌの家で僕は、テーブルの下に潜り込めと言われた。

僕はテーブルの下にしゃがみ込んで、テキトウな順で名前を呼ぶ。
「えっとー、ジャン!」
次は?
「じゃあ、次は、ミシュリーヌ!」
次は?
「コウモリ!」
次は?
「マリーヌ!」

そうして、切り分けられたガレットを配り終え、それぞれが食べ進めていく。

「あった!」
今回の当たりは、僕だった。中に入っている人形も、店やメーカーによって様々な種類があるようだ。
これは…なんだか分からないけど、まあいいや。今年は良いことがあるかも!

そして紙製の王冠をもらう。ふっふっふ。フランスのテレビ局に勤めていたジャンとミシュリーヌ、その中上流階級の家で、日本からやってきたニートが王様として君臨する日が来るなどとは、いったい誰が想像しただろうか。

「ねえ、あたしもクラウン欲しい!」
久々のガレット遊びで楽しくなったのか、マリーヌが僕のクラウンを奪う。
「じゃーん。どう?」
「似合ってるね。でも…酔ったでしょ(笑)」
ワインを飲みながらゆっくり食事するというのも、悪くないかもね。

ガレットを食べたお腹は、爆発しそうだったけど。
「お腹が爆発するー」
食事のあとずっと、僕は叫び続けていた。



つづき。
フランス滞在記⑩ 日本の男性、仕事しすぎで家事しなさすぎ! 仕事家事の時間


これまで。
フランス滞在記①出発前 →旅のミッションと若年失業率
フランス滞在記②飛行機 →日本のコミュニケーションの前提
フランス滞在記③電車  →日本の治安は素晴らしい・殺人発生率 
フランス滞在記④スーパー→日本の労働、やっぱり変!?・労働時間
フランス滞在記⑤車内  →彼女の母に言われたコトバ
フランス滞在記⑥塔   →エッフェル塔が超えぐれてた日
フランス滞在記⑦都心  →日本のイメージ。世界の好感度ランク
フランス滞在記⑧布団  →フランスの嫁姑戦争

TOP