フランス女性と同棲中

ナンパしたフランス人と同棲する高卒ニートの整理と極論

日本の治安は素晴らしい/ニートのフランス滞在記③

これまでと今回。
フランス滞在記①出発前 →旅のミッションと若年失業率
フランス滞在記②飛行機 →コミュニケーションへの態度
フランス滞在記③電車  →今回:日本の治安は素晴らしい
殺人発生率など、以下の図は本文で説明。

パリの空港

パリのシャルル・ド・ゴール空港に着いたのは、フランスの朝5時。まだ暗いし寒い。
「シャルル・ド・ゴールって言いにくいね。しゃるるどごーーる(笑)」
「本当に発音が下手だねえ」
「しゃるる・どごーーる、しゃるるどごーーる(笑)」
「ねえ、面白くないからやめて」
もう少し遊びたかったのに、ピシャリと断ち切られてしまった。長時間の飛行機で疲れているせいか、彼女もあまり相手してくれる気にはならないのだろう。ちぇ。
「面白い地名じゃない?日本にこんな長い地名ないよ」
「地名じゃないよ、人の名前だよ」
「そうなの? だれ?」
「うーん、説明が面倒くさい。あとで自分で調べて」

あとで調べた。→シャルル・ド・ゴール - Wikipedia

第二次大戦で軍人として活躍し、戦後は大統領として、混乱していたフランス政治を立て直したおじさんらしい。

なるほど。発音以外には全く興味をそそられないおじさんだった。

しゃるる・ど・ごーる。
もういちどウィキペディアを見てみる。ふーん、40年以上前に死んだのか。
…て。ええ!? 
よく考えたら、かなり最近のおじさんじゃない?しゃるるどごーるさん。日本で言えば、池田勇人さんとかと同時代なわけでしょ? それで空港に名前が付くって、よっぽどしゃるってたんじゃないの? 日本にはそういう政治家いないよ。イケダハヤト空港とか、いま作ろうとしたら絶対に反対するヒトが出るでしょ。そう考えたら、超すごいじゃん! すげーしゃるってんじゃん! しゃるり過ぎて、どごってんじゃん! 

うん、やっぱり興味をひかれたのは発音だけだったみたい。頑張ってフォローしてみたけど、恐ろしいくらいに何も出ない。

「それで、これからどこに行くの?」
「電車の始発を待って、サン・レミ・シュブルーズに行く」
「どこそれ?」
「お母さんの家だよ」
「ああ、お母さん家ね」
「そう。そのあと、お祖母さん家(母方)に行って、お母さん家に戻って、お祖母さん家(父方)に行って、お父さん家に行って、またお母さん家に戻る。ああ、もう!ほんと大変だよ」
「まあね」
「私には本当に自由がない! もう大人だよ!? あっち行ってーこっち行ってーって勝手に決められて」
「まあ、みんなマリーヌに会いたいから、仕方ないんじゃない?」
「うん…早く家族に会いたい」
「久しぶりに会えるし、楽しみでしょ」
「うん。でも、ゆっくりしたいよ」
「時間があれば、イタリアとかイギリスも行ってみたかったけどね」
「そんな時間ないよ」
「そうだね。まあ仕方ない」

パリの電車

始発の電車に乗って、パリ北東のシャルル・ド・ゴール空港から、パリ南西にある田舎町サン・レミ・シュブルーズまで。幸いなことに、乗り換えもなく電車一本で到達できるようだ。パリ近郊を走る電車のちょうど始点から終点まで、90分ほど電車に乗るらしい。

(google mapより作成)

この地図を見ても分かる通り、彼女の母と弟が住む町シュブルーズは、森の中にある。東京で言えば、多摩市あたりのイメージになるのだろうか。

彼女の一家は、自然が多い場所で暮らしたいと言う母パスカリーヌの希望により、10数年前にこの場所に移り住んてきたらしい。それまでパリ都心に程近い場所に住んでいたマリーヌにとって、都心から車で1時間もかかるその場所は「何もない田舎」だった。土日にはどの店も閉まり、周囲に娯楽施設など一切ないその町で、彼女と弟は「ニンテンドー」のゲームで遊びながら暮らしていたという。そう、彼女が日本に興味を持ったのは、ゲーム・アニメ・JPOPがきっかけだったそうだ。

始発の時間を迎え、僕と彼女は電車に乗り込む。
「やっと座れたね」
「うん。でも寒いねえ。日本の電車だと座席が温かいのに」
「まあね、たしかに日本の電車はすごい」
「座席も汚いし、これに90分も乗るのは大変だね」
そう言いながら、僕はニンテンドー3DSを取り出した。
「ねえ、ダメだよ」
彼女が言う。
「電車でそういうものを出したら、危ないよ」
「そうなの?」
「ねえ、ここはもう日本じゃないんだよ」
「そっか。。じゃあ、ひとまず寝るよ」
「ダメだよ!電車で寝たら危ないよ!」
「うそー!? ゲームも寝るのも出来なかったら、どうすんの?」
「待つしかないよ」
「ああ; 日本の電車がすごいって言ってた意味がやっと分かったよ。時間に正確とかだけじゃないんだ。治安もぜんぜん違うんだね」
「そう。16歳のときね、こ…」
そうやって彼女が話し出した途中で、同じ車両の後ろの方から、大きな声がした。僕にはフランス語がさっぱり分からないけれど、なにか囃し立てるような喧嘩を売るような、荒っぽい声だ。後ろを見てみると、その車両にはおばあさんが1人乗っているだけだったのだけれど、そこへ黒人男性が声をかけていたようだった。
「ねえ、車両を移ろう」
彼女が急いで言う。
「あの黒人は、悪い言葉を使っていた。怖い」
「分かった、車両を移ろう」
おばあさんも、その車両から移っていったようだ。僕らも、下手にその黒人男性を刺激しないように、スーツケースを大事に抱えて、車両を移る。
ちょうど治安の話をしていただけに、尋常じゃなく怖い。フランスも先進国とはいえ、2011年データで見ても、殺人発生率が日本の3倍以上もある国なのだ。


車両を2つほど移動して、危なそうな人がいないか確認してから、再び彼女が話し始めた。

16歳のとき、6つ離れた駅にある高校に通うために、彼女は電車に乗っていた。同じ車両には2~3人しかおらず、彼女はipodを聞いていた。ふいに、彼女の前に14歳くらいの女の子が現れ、ipodを奪おうとしてきた。負けん気の強い彼女は、誕生日にもらった大事なipodだし絶対に取られたくない、と必死に抵抗した。同じ車両に乗っていた他の乗客は、誰も助けてはくれない。ひとまず次の駅で降りて、走って逃げたためにipodを取られないで済んだが、その事件で彼女は、電車では高価な物を出してはいけないと学んだという。

上記二つのグラフは、UNODC(国連薬物犯罪事務所)のexcelデータから幾つかの国を抽出して作成した。
UNODC homicide statistics

電車がパリ都心部に差し掛かると、たくさんの乗客が乗り込んできた。日本ほどではないが、混雑する車内。ドアが閉まり、出入り口の近くで怒声が飛ぶ。その声の方へと、周囲の乗客の視線が集まる。次の瞬間、背の高い男性が、間に2人ほど挟んで離れた男性を殴りつけようとした。「oooohhhh!」僕を含めた乗客たちは、ブーイングにも近い「やめろよ」というニュアンスを含む声をあげる。(あ、これって万国共通の声なんだ)と僕は思う。殴りかかろうとした男は、すぐ隣の男に手を抑えられ、狭い電車内での喧嘩には発展せずに終わった。そしてパリ都心部を過ぎ、徐々に電車の混雑は解消された。

こうして僕がフランスに来て最初に思ったことは、「日本の治安って本当に素晴らしいんだな」ということだった。

電車の違い、その他

フランスの電車で感じた「日本と違うところ」は、他にもいくつかある。まず、電車が出発するときにアナウンスがないこと。そして、電車が駅に止まろうとしている途中で、ドアを開けて降りる人がいること。
「まだ完全に電車止まってなかったよね!? あのひと危なくない?」
「まあね。フランスは自己責任なんだよ」
前回のエントリでも書いたが、日本では「説明責任」が過剰に求められる。商品の「開封時、中身が飛び出すおそれがありますのでご注意ください」という表示や、電車の「駆け込み乗車はおやめください、ドアが閉まりますご注意ください」というアナウンスや、and so on...

誰に責任を求めるのか、コミュニケーション(行動)についての基本態度が全く違う。あらためて、そう感じたのだった。


つづき
フランス滞在記④スーパー→日本の労働、やっぱり変!?労働時間

これまで
フランス滞在記①出発前 →旅のミッションと若年失業率
フランス滞在記②飛行機 →コミュニケーションへの態度

TOP