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フランス女性と同棲中

ナンパしたフランス人と同棲する高卒ニートの整理と極論

セックスの上手い国ランキング、日本は世界TOP5!?

社会や文化を考えるのが好きな人たちに向けて。
あけましておめでとうございます。HAPPY NEW YEAR!
というわけで、もう2014年。
新年初回となる今回は、
「日本はセックス負け国だ」「日本のセックスは貧しい」
そんな古く間違った常識を、
データを基に覆していきましょう。 

1、日本のセックスは貧しい?

まず、よく使われるデータの確認から。
男性向け避妊具の大手メーカーDurex社が、ウェブサイトで行った国際比較調査。
その中から、セックス頻度と性生活の満足度をグラフにしたものがこれです。


  資料:Durex社、"2005 global sex survey report" →過去のサーベイ資料
     性生活の満足度は「I'm happy with my sex life」と答えた回答率。

少し古いデータですが、この翌年以降でDurex社がデータ発表をしていないため、このデータが今もはびこりつづけています。そこでコウモリも、この2005年データを基に話を進めます。
まずこのデータで注目されたのは、世界41ヶ国中で、日本のセックス頻度は年45回とワースト1位であること。性生活の満足度24%という数字も、中国に続くワースト2位であること。このことから、「日本はセックス負け国だ」「これでは少子化するのも当然だ」「もっとセックスに積極的になろう」という言説があちこちで飛び交っています。

コウモリは、こうした言説にげんなりしています。
「うるせえバカ、勝手にさせろよ」と。
そういうわけで、このグラフを少しイジってみたのがこちらです。

2、日本はセックスが上手い!?

最初のデータで「満足度÷回数」をしただけです。その意味は、「一回あたりのセックスが、どのくらい満足度ポイントの獲得につながるか」です。
このグラフだと、なんだか日本は、良い感じじゃないですか?
セックス効率が良いとでも言うべきか、「もしかして日本人はセックス上手いんじゃね?」とも思えてきます。
これを基に、国を並べ替えたランキンググラフがこちら。

なんと世界5位! 日本は、世界で5番目にセックスが上手いんじゃないの!?

・・・え?
なんか変ですか? インチキなグラフだって?

「そもそもセックスに回数を求めない人だったら、少ない回数でも満足するハズだ。そうしたら、自然といまのグラフの順位が上がるじゃないか。その証拠に、いまのグラフで上位5ヶ国のうちベルギーを除いた4ヶ国は、最初のセックス回数のグラフではワーストだった国じゃないか。ほら、回数のワースト1位(日本)・2位(シンガポール)・3位(インド)・6位(マレーシア)が、今の「満足度÷回数」グラフではトップ5に入っている。だからこれは上手さを表すグラフなんかじゃない、インチキだ」

ふむふむ、なるほど。
そう、その通りなんです! コウモリが言いたかったことは、そこなんです!
あえて半分インチキなタイトルを付けてでも言いたかったこと、それは「回数なんか求めてない人もいるかもしれない」ってこと。
当たり前のことだけれど、なぜだか忘れられてしまう。それは、データやグラフの力が強力だからです。最初のグラフには、「セックス回数がワーストで、日本はセックス負け国!」とつい思い込ませてしまうような力が確かにあります。

3、回数なんかじゃない、ハートだ…!?

でも、いま確認したように、「回数なんて求めてない」と思う人たちもいるわけです。あえて分かりやすい言い方をすれば、「回数なんかどうでもいい、そこにハートがあれば充分だ」ってことですね。
そんな常識以前の当たり前の前提すら吹き飛ばして「日本は回数がワースト!もっとセックスしよう!」と強調している人たちは、なんて下品なんだろう、とコウモリは思います。

「それは他人に向けて言うコトバではありません。自分のパートナーに向けて言いなさい」

コウモリはそう考えます。きっと、自分のパートナーに向けては言えないひとが、その鬱憤を晴らすために外で大きな声を上げているのだろうと思っています。それこそが、いちばん品位のないことだと思っています。
でも、下品なタイトルや下品なグラフで「もっとセックスに積極的になれ」と強制しようとする人たちに対抗するには、同じように下品なコトバやグラフの力を借りるしかありません。世の中には、下世話な数字でしか物事を理解できないバカがいるからです。この記事は、そういうバカを黙らせるために書かれています。

「個人の自由です! セックスの数なんてどうでもいいと思う人もいるのです! アタマ悪いグラフを持ち出してバカなこと言うのはいい加減にしなさい。セックスの数が少ない方が、そのぶん気持ちのこもった丁寧で良いセックスをしているかもしれないでしょ? このグラフをご覧なさい」

そうやって(心の中だけでも)言い返すための材料を提供するものです。コウモリと同じ考えを持っている人に向けて。

結婚しました、と報告すると、「そうかそうか、次は少子化問題に貢献してもらわんとな! ガハハハ!」と笑うオッサンたちがいる。ああ、と私は想像する。彼らはきっと、考え無しの結婚をして避妊無しのセックスをして、妻の産んだ子を自分が成し遂げた「社会貢献」だと認識しているのだな。たとえ家庭内での育児に微塵も貢献していなかったとしても。そうして他人の子もすべて、己が長命と年金の安泰とを底支えするべく、数で勘定するモノだと思っている。だから言うのだ、この国のために、子を殖やせと。世界各国の制度を調べ、野生の本能が発する最後通告さえ華麗にスルーした私の心には、彼らの言葉は、もはやまったく響かない。
嫁へ行くつもりじゃなかった――私の新婚日記 (8) 聖家族はかげろうのように | マイナビニュース

数字でしか理解できないバカには、数字とグラフを見せるしかない。
伝えるためには、相手に合わせたコトバを紡いでいくしかないから。

あれ。
でも、ちょっと待てって?
言いたいことは分かってきたけど、やっぱり少し変だって?

「東南アジアの「回数÷満足度」上位の国では、一回ずつのセックスにハート込めてるかもってのは分かる。満足度じたいも40%台で低くない。でも日本は、元のデータの満足度じたいも24%とワースト2じゃないか。日本ではハートも満たされてないぞ」

ふむふむ、なるほど。その通りです!
でもね、ここまで考えてくれば、コウモリの言いたいことも想像がついてくるんじゃないでしょうか。
まず先に、結論となるデータから見てみましょう。

4、セックスへの満足度、その本当のグラフ


これは、我らが相模工業が2013年1月に、セックスの満足度をWEBアンケートで調査した結果です。
今回は都道府県ごとにどうこう言う気はありません。注目してほしいのは、その「満足度」です。

人口比を考慮せず、単純に47都道府県の値を平均すると、50.5%。最も低い茨城県でさえ、46.2%です。
ね? 日本の満足度、ぜんぜん低くない!

これを、最初の2005年国際比較のデータに差し込んでみましょうか?世界平均よりもずっと高いと分かるハズです。あるいは、これを基に「セックスの上手さ」グラフを作ってみましょうか? そんなことしたら、日本はダントツ1位でセックスが上手いなんてことも言えかねない。

これで先ほどの、もう1つの疑問にも答えが出ましたね。
「たしかに回数は問題じゃないかもしれない、でも日本ではハートも満たされてないぞ?」
いいえ。
いま確認した通り、2013年相模工業の調査では、日本でも満足している人たちが50.5%いて、2005年Durex調査の国際平均44.1%よりもずっと高い数字だと言えます。

あれ? 
でも不思議ですね。どうして、こんなに調査結果が違うのでしょう? 日本人の性生活は、この8年でそんなに大きく変わったのでしょうか? 24%から50%までと、この8年でセックスに2倍以上も満足するようになったのでしょうか?

おそらく、そうではないでしょう。この調査結果の違いには、大きく2つの理由が考えられます。ひとつは「対象者のサンプル」の違い、そしてもうひとつは「調査質問のコトバ」の違いです。

コウモリは後者が大事だと思うので、最後にそれだけ説明しておきますね。すっごく大切なことなので。

5、データを疑え、グラフを疑え

元の2005年データの「満足度」は、「I'm happy with my sex life」と答えた回答率です。日本語で「満足かどうか」を回答させた2013年データと違って。
そして2つの違いはきっと、この「happy」というコトバに対する感覚の違いだと思うんですね。日本では、「Happy birthday!」や本記事の冒頭で用いた「happy new year!」など、記念日のように特別な場面で使うコトバが「happy」だと捉えられていると思うのです。だから、happyかどうかを答えさせる2005年調査ではとても低い数字が出てしまった。でも、英語圏の感覚だと、happyってもっと身近に使うコトバですよね。「I'm happy to see you.」とか、嫌いな人と会ったときの社交辞令でさえ言えちゃう。

つまり、最初のグラフが持つ「世界との差」の中には、「happyというコトバへの感覚の違い」も含まれていたんじゃないの?ってこと。
そう考えてみると、ほら。「満足度がそれなりに高く、満足度÷回数が上位だった」シンガポールやインドやマレーシアの人たちにとって、英語はどんなコトバでしょうか? シンガポールでは、英語は公用語。イギリスの植民地とされていた歴史を持つインドやマレーシアでは、英語は準公用語。ほら、答えはもう出ましたね! 英語に慣れている人にとっての「happy」というコトバと、英語に慣れていない日本人にとっての「happy」というコトバ。その感覚の違いが、2005年データでの差を生み出した可能性は充分にあるってことです。

セックスの最中やセックスの直後に脳派を計測した数値で「happyかどうか」を国際比較したわけじゃないんだもの。それぞれにイメージの違うコトバに対する答えの数値。そんな曖昧な数値、本来は論じるだけの価値もありません。でも、数字やグラフにして見せられると、ついヒトはそれに左右されちゃう。

今回コウモリが言いたいことは、「データを疑え、グラフを疑え」ってことです。
「データやグラフ」を悪用して自分の主張を押し付けようとしてくる失礼な奴らに負けんなよ、ってことです。
数字をバカに悪用させるなと。それって何の数字?その大元のところをしっかり確認しようぜと。
ひとまず、それが今回の主張。

テーマに沿って言えば、
「日本のセックスは貧しい」と大声で言ってる人は変だよ、て話でした。貧しいのはこの主張をするひと自身のオマタかアタマでしょう、と。

ちなみに、我が家が国際比較調査に参加した場合には、いったいどこに入るのでしょうか? 日本? それともフランス? どちらの数字に入れられたとしても、なんだかなぁ…と思っちゃいます。コウモリみたいに、いつもどっち付かずで仲間外れの場所にいる生き物からすれば、ほんと、こういう調査データなんて信頼できたもんじゃないなって感じです。あ、そうそう。今回の主張も、コウモリ自身の回数や満足度が低くて言っているわけではないですからね。*1

ただ、「セックス」というテーマについては、まだ言うべきことがあります。都道府県別のデータも出したのですが、その分析もちゃんとしてないしね。でもかなり長くなってしまったので、それらはまた次回ということで。

 次回 →(編集中。コウモリは同時並行でいくつもの議論を進めているため、このテーマの次回更新がいつになるか分かりません。申し訳ないです。でも毎回、本質で通底する面白いグラフを作っているつもりなので、関連テーマも読んで頂けると嬉しいです。)

追記
社会実情データ図録で、趣旨は異なるものの、既に同様の指摘がなされているようです。そこでは、日本のセックス満足度が低い理由を、他項目からの類推で説明しています。この記事とは異なる意見ですが、参考になるかもしれません。
図録▽世界各国のセックス頻度と性生活満足度
また、Durex社の調査の妥当性についての発表資料を添付した記事もありました。
図録▽世界各国のセックス頻度と性生活満足度(第2版)
ただしこれらを踏まえても、本エントリの核となる主張「セックスに回数を求めないヒトもいるし、いろいろある。ヒトは自由だ」ー「データやグラフには様々な見方がある、一面的な主張を鵜呑みにしてはいけない」に変わる部分はないので、エントリはそのまま残しています。

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*1:若く健康な同棲生活の多くがそうであるように、どの数値でも世界平均の数倍のポイントを出すだろうことと、そのため上記の主張はポジションに関係なく生じうる普遍的なものだということを明記しておきます。

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