彼氏は日本人。彼女はフランス人。

日本人とフランス人の国際カップルの記録

「わたし太った;」娘にどう答える? -問題解決は4パターン 基礎編-

概要

1、 問題解決の4パターンを復習

2、Ⅰ文化祭一カ月前の「わたし太った;」への答え方

   Ⅱ文化祭当日の朝の「わたし太った;」への答え方

3、さいごに

( 約4800字:約4分50秒 )

 

 1、問題解決の4パターンを復習

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たとえば「太った」という問題に対しては、

①「やせる」ことで「A状態を良くする」解決以外にも、

②「こんなの太ったうちに入らないから気にしない」と「B関心を下げる」解決や、

対象世界ではなく、自分の価値観を変えることで

③「むしろ太った方が良いんだよ」と、「A状態を良く捉え直す」解決や、

④「自分の体重なんて誰も気にしてないよ」と、「B関心を下げて捉え直す」解決。

大きく言って、この4種類の問題解決がある、というのが前回の話でした。「女は問題解決を求めてない」のような考え方は、①だけを問題解決とみなす傲慢な姿勢です。そんな傲慢な姿勢では、以前のコウモリと同じく、初対面の女性からのハイヒール回し蹴りを受ける可能性もあります。。。というエピソードを話したかどうかは忘れましたが、「問題とは、世界と自分の関わり合いの中で生まれるものだ、だから自分の感じ方や価値観を変えてみる②③④も解決なのだ」というように、ゆるく広い姿勢で考えることが大事だと思うのです。そうして、4種類のどの問題解決が状況に応じて適切なのかを探っていくのが良いと思うのです。 

 この①から④までの、どの解決方法を選択すべきか。それは個々の場面によって臨機応変に考えるべきです。その選択こそが「人間のコミュニケーションだ」と気が付いたコウモリは、それぞれについて考えてみることにしたのでした。

 

2、「わたし太った;」への答え方の成否

そこで、今日の本題。「わたし太った;」と言われたとき、①から④それぞれのパターンの答え方は、どのような基準で選択するべきでしょうか。これがゼッタイ!などというものはなく、広くゆるい姿勢で、臨機応変に選択するべきだと思うのですが、人間適正の低いバカなコウモリは、「臨機応変」というやつが苦手です。そこでここでは、「臨機応変」の中身を考えてみよう、というわけです。それでは、いくつかのシチュエーションを巡りながら、ひとつずつの成功と失敗を考えてみましょう。

 

シチュエーションⅠ 文化祭の1ヶ月前。娘が、家で衣装合わせをして。

1ヶ月後の文化祭で、メイドカフェをすることになった娘。クラスの女子みんなでメイドの格好をしてもてなすのだという。たしか去年もそんなこと言ってたっけ。怠惰な娘は、去年ドンキで買った衣装をそのまま使い回せるから楽で良かった、と言う。たしかにそうかもね、と私。けれど、少し部屋に引っ込んだかと思うと、深刻な顔をした娘がリビングに戻ってきた。「わたし、太った;」見ると、去年の衣装ではサイズが合わなくなっていたらしい。だいぶ前から身長の伸びも止まっているので、サイズが合わない原因は、間違いなくお腹まわりだろう。さて、何と言ったものか。

①「痩せなよ」 世界・価値

文化祭まであと1ヶ月あるので、ダイエットは可能です。ただし「体重」という物理的な状態の変更を試みる解決方法であるため、その実行には、決断と時間と継続する意志力が必要です。娘に変化する力を養ってほしいのであれば、言ってみてよい台詞かもしれません。

②「そんなことないよ」 世界・関心ー感じ方変更

衣装を傍目で見たときに、どの程度「サイズが合っていない」と感じるのか。年頃の娘なので、過敏になっているだけかもしれません。ただし、母(父)から見た視点で「太ってないし大丈夫」に見えることでも、娘の友人から見た視点で「ヤバイ」と見えることはありえます。人によって基準ラインは違うのです。娘は、誰の目線を気にしているのでしょうか。あるいは、どんな基準を重視しているのでしょうか。その関心の源泉を想像しながら聞きながら、落とし所を探ることになります。主に、「太ってるようにはぜんぜん見えないけど、そんなに気になるなら新しい服を買えば?」が落とし所になると思いますが。

③「もっと太った方が良いよ」 自分・価値ー価値観変更

二つの場合がありえます。A「もう少しお腹出てた方が面白いし、ウケると思うよ」という場合と、B「去年が痩せすぎだったのよ、もっと太らないと不健康よ」という場合です。

 A「もう少しお腹出てた方が面白いと思うよ」は、娘の見た目がキャラ基準を超えた場合にオススメです。この場合はそれまでに、本人が少し太ってきたのを気にしているようで、それを気遣って周囲が言い出しにくいボーダーライン上の時期があります。このセリフは、その時期を乗り越えるために使うものです。周囲の認識と本人の自意識にズレがあると、人間は社交上の苦労を感じます。周囲の認識を自覚し、自意識を生み出す価値観を変えることは、とても劇的な変化です。お腹をほっぽり出してポンポコリン体操を踊れるくらいまでキャラ変更ができれば、とても面白い。また逆に、この言葉を「皮肉・ダイエットへの煽り」と捉えて、必死にダイエットしはじめる可能性もあります。それも面白い。いずれにせよ、自分の意思での大きな決断を迫るときに使えます。ただし、皮肉と受け取られた場合には少しの不仲を覚悟しなければなりませんし、また「価値観の変更」を促す言葉はアクが強いため、「ちゃんと話きいてよ!もう相談しない」となってしまう場合もあります。難しい。

 B「去年が痩せすぎだったのよ、もっと太らないと不健康よ」は、その点では易しい言葉です。「美容」から「健康」へとシフトした価値観変更は、「美容」から「面白」へとシフトした価値観変更より一般的で、理解しやすいからです。

AとBは、ともに娘がボーダーライン上にいるときに使える台詞ですが、そのラインの位置は真逆です。Aは「普通ー太り」のライン上、Bは「痩せー普通」のライン上にあるときに使えるものだからです。しかし、そのボーダーラインとは一体どこに存在するのでしょう? 親の周りなのか、娘の周りなのか、地域なのか、日本なのか、世界なのか。アフリカでは、太る方が美容面で「良い」とされます。そんな風に考えてみると、もしかすると、多少は周囲の認識と本人の自意識にギャップがあるままでも良いのかもしれません。学校や地域や日本という「周囲」に合わせず、本人の価値観を貫くのも1つのやり方だからです。その場合には、次の答え方になるでしょう。

④「あんたなんか誰も見てないよ」 自分・関心ー価値観変更

一見するとかなり厳しい言葉のようにも見えますし、そう受け取られる可能性もある諸刃の剣タイプの答えですが、これがすごく効果を発揮する場合もあります。自意識過剰になる時期や、極度に重要性を感じて緊張する(関心が強すぎる)場面などです。そして相手の心に突き刺さる場合には、とても面白い答え方です。

 他人から見た関心と、本人から見た関心は圧倒的に違う。他者の価値観をインストールすることで、自分の価値観の枠組みを壊して問題解決を図る。そのためには、これ以上ない言葉です。更に面白いのは、偶然にも突き刺さる場合が多いという点です。言う側方が状況を踏まえて親身になって言う場合には成功率が高いのは当然ですが、言う側が投げやりにテキトウに言った場合でさえ、グッサリと突き刺さって問題解決に成功する場合があるのです。だから面白い。あるいは、親身になっているからこそ、「あえて突き放した言い方をする」ことの多いコトバです。けれども、タイミングを間違えると「ただの冷たいヒト」「重要なことなのに取り合ってくれない、サイテーなヒト」と思われる可能性は常につきまといます。もちろん、言われる側のキャラと受容力も踏まえなければいけない。でも、刺さるとスゴイ! このコトバをきちんと刺せる鍼師のような大人を、必要なタイミングで痛くない場所に繊細な手つきできちんと刺せる大人を、コウモリはすごく尊敬します。

 

さて、次に少しだけシチュエーションが変わった場面を想像してみましょう。もしも、娘が「わたし太った;」と言ってきたのが、文化祭当日の朝だったなら。

 

シチュエーションⅡ 文化祭当日の朝。娘が、家で衣装合わせをして。

シチュエーションⅠと日時だけが違い、後は同じ条件。

「わたし太った;」さて、何と言ったものか。

①「痩せなよ」

手術でもしない限り、ほぼ文化祭には間に合いません。この答え方は、今回はあまり役に立たなそうです。それなのに。前回も触れたように、「問題解決」をこの①だけで狭く捉える傲慢なバカは、他の答え方を思いつく可能性が低くなります。そして思いついたとしても、心のこもらないその場凌ぎの答えになるため、コトバに重みを持たせることができません。最悪な場合には、「いつも菓子ばっか食ってるからだろ?痩せろよ」と捨て台詞を吐くことさえあるかもしれません。

 あるいは、「問題」を文化祭の乗り切り方にすり替えて、「デブがバレない服を新しく買えばいいだろう?」という答え方をするかもしれません。ああ、違うのに。問題は、そこだけじゃないのに。衣装が合わなくなったことで自分の体重も気になっているし、もちろん文化祭での見られ方も気になるし、その複合した問題系として「わたし太った;」が立ち現われている可能性が高いのに。「あっさりデブって言ってくんじゃねえよデリカシーなさすぎなんだよクソヤロウ」そう思われて、二度と相談してもらえない可能性が高いのではと思います。

 そういうわけで、①パターンは基本的にムリ筋です。上級者が、あえて目的を持って言う場合や特殊な場合を除いて、これはムリ筋。例えば、相談された側の体重が350kgくらいあってベッドから動けないでいるシチュエーションで、そこに来た娘が「どうしよう太ったみたい;今日これ着るのに」と言ってきたのに対してひとこと、「痩せなよ。あたしみたいになりたい?」そういう特殊な場合には、「!!!!!ああ、本気で痩せよう。文化祭はひとまず新しい服でも買うとして、わたし本気で痩せよう」と思わせる力があるでしょうが、、、そんな状況あるかいっ!!!

②~④

 そういうわけで、いちいち解説はしませんが、この場合には②③④の答え方が適切です。基本的には、先に示した状況分類に応じて使い分けるのは同じです。

つまり

②関心があるのは誰の基準でどの程度ラインからズレがあるのか

③A太りすぎの自覚がないのか面白志向は理解できるか

③B痩せすぎの自覚がないのか健康志向は理解できるか

④関心が高まりすぎ(不安や緊張や興奮で自意識過剰)なのか

それらについて、相談者に対する回答者の基礎的な判断をしながらも、相談者の受容力と受容性質を見極めて答えを紡ぎだすことになるでしょう。

 

3、最後に 

なお。最後に付け加えるなら。「4つのうちどれを選んで答えるのか」よりも、もっと重要なことがあります。相談ー解決のコミュニケーションでもっとも重要なこと。

 それは、この「わたし太った;」の言葉を引き出せるようにしておくことです。相談してもらえる状況を作ることです。それは、普段からそうした相談をしてもらえる関係を作っておくことであり、そのための場所や時間を設計することです。いつも話も聞いてくれない・いつも自分の意見を押し付けてくるだけ、そんな人には、誰も相談したくありません。また、相談したいときに、相談できる場所がないと、たとえ関係を作っていたとしても「わたし太った;」の言葉はもらえません。

 こんなに細かく解決パターンがどうのこうのと検討しておいて言うのもあれなんですが、基本的にはどんなに間違った答えでもいいし、どんなに見当違いなことを言ってもいいと思っています。単純接触効果。とにかく、親身になって考える時間を作り、そのための場所(サイバースペースでも)を作り、そのための関係を作ること。今回の全ては、それありきのお話し、ということでよろしくお願いします。

 

→つづき

  「わたし太った;」恋人(妻)への答え方を考える  準備中 

→前回記事 

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