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フランス女性と同棲中

ナンパしたフランス人と同棲する高卒ニートの整理と極論

「写真で一言」という問題フレーズが、一般化した理由とは? 

お笑い 大喜利 言葉

IPPONグランプリの問題解説の前に、まず、今では当たり前のように見かけるようになった「写真で一言」という問題(お題)について確認しておこう。 

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徳井「このまま、大気圏に突入します!」(2013年第10回IPPONグランプリより) 

 

テレビやライブ、あるいはboketeのようなウェブ上の大喜利企画でも一般化し、当たり前のように見かけるようになった「写真で一言」というフレーズ。このフレーズが現在のように一般化した背景には、その言葉が大変良く練られているという事情がある。

「写真で一言」という問題の登場以前にも、写真問題というのは存在した。「このとき彼は、何と言ってるでしょう?」「この犬は、何をしようとしているでしょう?」のような問題だ。けれども、それらと「写真で一言」では、大きく違う。

何がどう違うのか。

これについて、「写真で一言」のフレーズを考えた当事者である松本人志倉本美津留が次のように語っている。

自分で言うのもなんやけど、いいお題やろ。「写真で一言」って、いいお題やねん。これ、「で」やねんな。「写真に一言」でも違うしな。「に」じゃなくて「で」やねんな。いっぱい遊べんねん

(たしか『スーパー1人ごっつ』の副音声か何か。いま手元にDVDがないので、文言と出典の詳細は後で調べます)

「写真で一言」というフレーズには、「写真の人物は何と言っているでしょう?」「写真の人物に対して何か返答して下さい」「写真の人物は何をしているところでしょう?」「写真の状況に何故なったのでしょう?」「写真は何を表しているでしょう?」など、いろいろな問題文の意味がぜんぶ含まれている。

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だから、「遊べる」。 つまり、問題が何通りにも解釈でき、解答の幅が広がる。それが、このフレーズの1つめの良いところだ。 

そして、問題が何通りにも解釈できることで、問題と解答の間にある「思考の距離」が長くなる。つまり、解答の予測がつきにくくなる。その結果、解答に対して感じる裏切られた感、つまり意外性が大きくなる。その結果、「解答に対して笑いやすくなる」。これが大喜利の問題フレーズとしての2つめの良いところだ。(ひとが笑うのは「意外性と共感性」が重なったとき→笑いの理論で今後解説)

それでいて、問題文そのものは短くシンプルで、理解しやすい。これが3つめの良いところだ。

 

ここで、2つめの点について具体例を挙げて説明しておこう。

以下、フジTV制作、2010年10月5日24:35~26:35放送のIPPONグランプリ第3回より画像や発言を引用する。これは、後に示す研究・解説・文化振興のために行うものであり、商業的な目的を持つものではない。ただし、著作権者の要請を受けた場合には、画像や文字などの変更、もしくは削除を行う。

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問題   :  写真で一言 

有野晋哉 :  はじめてのおつかいアフリカ編    10点

 これは、写真の状況を説明するタイプの解答。「何の写真?」と聞かれたときの解答としては成立するけれど、もしも問題が「何と言っているでしょう?」なら、この解答は成立しない。(大喜利では、解答が問題に対応していないことを、「成立していない」と言う)。また、「何の写真?」の問題と比べて、「写真で一言」の問題では、観客の頭には「この人は何と言ってるんだろう、何をしてるんだろう、何の写真だろう?」という様々な疑問が浮かぶ。そのため答えの予測がつきづらく、解答に対しての意外性が増す。

 

問題   :  写真で一言 

友近   :  「福男はオレだ~」         10点

 今度は、「何と言った?」に対する解答で、直前の有野の解答から焦点をズラしている。

 

問題   :  写真で一言 

日村勇紀 :  「イェーイディズニーシー楽しいーー」  6点

 直前の友近と同じ「何と言った?」に焦点をあてた解答なため、得点も低い。

 

問題   :  写真で一言 

バカリズム:   ※画像はあくまでイメージです。    10点

 今度はまた焦点を変えている。「何の写真?」に対する解答で、直前に続いた「何と言った?」形式の解答から距離がある。

 それに加え、写真を直接に説明するのではなく、そこに添えられた言葉を見せる間接法をとっているため、直前の「ディズニーシー楽しいーー」という説明口調な解答との落差が大きくなる。

 さらに、前の二つがテンション高くコミカルな解答だったのに比べて、冷めた目線で突き放す内容の解答が、その間接法という表現法と相まってより大きな落差を生んでいる。結果、会場はかなりの大爆笑となり、点数はもちろん10点となる。その余波として、次の解答がウケにくくなる。

 

問題   :  写真で一言 

有野晋哉 :  だるまさんがころんだ        5点

 直前のバカリズムの解答が大きくウケたため、それと同じ系統となる「何の写真?」式の説明解答が色褪せて見えてしまう。しかも、バカリズムの間接法と比較してしまうため、かなり鮮度が低く感じられる。もし早押しで有野が勝ち、日村の解答の後に出せていれば、もっと点数が高かっただろう。

 

問題   :  写真で一言 

バカリズム:  今でいう石原軍団          8点

 これも「何の写真?」系統で、焦点が変わらないために点数も伸びにくい。

 

問題   :  写真で一言 

ナベアツ :  「あの2人めっちゃ女子の目ぇ意識してるやん」

10点

 またセリフ解答なのだが、今度は「写真の後ろの人は何と言った?」系統の解答で、セリフの主語とともに焦点が変わったため点数も伸びやすい。結果、満点。

 

問題   :  写真で一言 

日村勇紀 :  ただいま映像が乱れています。しばらくお待ち下さい…

7点

 「何の写真?」系統での説明解答で、写真に添えられる言葉を見せる間接法をとっている。これは先のバカリズムの解答と同じ構造なために、「カブってる感・既視感」が目立つ。そのため意外性が減り、点数も伸びない。

 

問題   :  写真で一言 

ナベアツ :  「アフリカ四中、なめんじゃねえぞー!」  10点

 久しぶりの「何と言った?」系統での解答で、新鮮味が戻っている。加えて、写真の人物が黒人であることに焦点をあてたのは最初の有野以来で、その点で「アフリカ四中」というワードの面白さが超新鮮に感じられる。結果、満点。

 

問題   :  写真で一言 

バカリズム:   「〇だと思うならライトスタンド側へー!!」 10点

 またセリフ解答なのだが、今度は「写真の人に何と言った?」系統の解答で、写真の中の人のセリフですらなく、焦点をズラしている。

 

以上、引用を含む解説部分は終わり。

この問題への解答はまだ続くのだが、それは省略して本題に戻る。

大喜利の解答に感じる「面白さ」の中には、「意外性」という成分が大きく含まれている。その「解答の意外性」を導くためには、いくつもの焦点と解釈を許容するだけの、「問題の広がり」が必要になる。

その広がりこそが、「写真で一言」というフレーズであり、「で」という助詞の持つ多義性なのだ。

 

今回は「写真で一言」を解説したが、IPPONグランプリ1回戦のように、1つのお題に複数人が複数の解答をしていく上では、この「広がり」は必要不可欠な要素となる。

そのため、IPPONグランプリの1回戦では、「広がり」を持たせるために様々な工夫が施された問題が出題されている。

次回は、その点について解説する。

 

なお、1対1で解答していく形式をとるIPPONグランプリの決勝戦では、どうなっているかというと…?

写真問題についてだけでも調べてみると、すごく面白いことが分かるはずだ。問題を作っている番組製作者の意図が見え隠れしているから。この点についても、次回に触れようかと思う。

 

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